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fate/vacant zero
誇りの在り処
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 ……ホントにらしくない。

 あなたがこんな調子じゃ、こっちまで調子狂っちゃうじゃないの。


 そう内心で一人ごち、肩と後ろ頭に手を回してゆるゆると撫でさする。

 しばらくの間それを続けると、やがてルイズはひっくひっくしゃくりあげながら、喋り始めた。



「どうして、どうしてあの人たちは、死を、選ぶの? ……わけわかんない。
 姫さまが、逃げてって、頼んでたのに……、恋人が、逃げてって頼んでたのに、どうして……」


「自分たちを慕したう平民たちのため、って言ってたわね」

「なによ、それ。愛する人より、平民の方が大事なの?」

「あたしに訊かないでよ。あたしは、王族じゃないんだから」


「わたし、説得する。もう一度、説得するわ」

「ムリよ」

「どうして?」

「男って、ワガママなものよ。
 一度自分でこうするって決めちゃったら、梃子てこでも動かなくなっちゃうもの。

 サイトの涙ながらの説得もダメだったしね」


 そう、とルイズが呟いた。


 相変わらず、頬には涙が伝ってる。

 あと、いい加減ブラウスの胸元もぐしょぐしょだったりする。

 そろそろ透けちゃわないか心配になってきた。



「早く、トリステインに帰りたい。
 この国、嫌い。誰も彼も、自分のことばっかり考えてるおバカさんばっかり。

 あの王子さまだってそう。
 後に遺される者のことなんか、ちっとも考えてないじゃない……」

「明日の式が終われば、帰れるわよ。それまで我慢なさいな。
 花嫁がそんな泣き顔見せてたんじゃ、あなたの王子さまに笑われちゃうわよ?」


 ルイズが、頭の上に?を浮かべた。ような気がする。

 涙は止まったらしく、こちらの顔を見上げてきている。



「ねえ、ツェルプストー」

「なによ、ヴァリエール」


「さっきからわたしのこと、なんで花嫁って呼ぶのよ?」







 は?



「あなた、なんにも聞いてないの?」

「だから、なにがよ?」


 眉根を寄せ、半眼になって睨んでくる様子は、いつものルイズそのものだった。

 とぼけている様子もない。


 どういうことなの?と疑問に思っていると、ルイズが急にはっと息を呑んで、なにやら捲くし立て始めた。



「あんたひょっとしてラ・ロシェールの宿でのこと盗み聞いてたの?
 確かに待っててとは言ったけど、まだ結婚なんか出来るわけないじゃない。
 立派な魔法使いメイジにはなれてないし、そもそもあいつを元のところに帰す方法だって……」



 後半以降を聞き流しながら、この奇妙な違和感について考
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