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fate/vacant zero
孤独の匂い
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なのだよ」

「それでも、です」


 だいたい、子爵自身が納得のいっていない声ではないですか。

 説得力ありませんよ、と心の中でギーシュは一人愚痴ひとりごちた。




「……外には、誰も居ないようだ」


 ドアを開け、四人は半月に薄く照らされるラ・ロシェールの街へと躍おどり出た。



「桟橋は向こうにある。急ごう」


 ワルドが先頭を往ゆき、ルイズとキュルケがそれに続く。

 ギーシュは己の『戦乙女ワルキューレ』と共に、殿しんがりを受け持った。


 街の闇へとその場を後にする折、ギーシュは、一度だけ後ろを振り返った。



 頼んだよ、と。

 今は目に映らぬ友へ祈るために。






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