孤独の匂い
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つもとは少し違う方向へとその本領を発揮しつつあった。
『その人にとって一番大事なものは奪わない』。
それは彼女の持論であり、美点であり――損なところであった。
そもそも奪うことが前提の時点で美点じゃねえだろ、などという無粋なツッコミはNO THANK YOUである。
Fate/vacant Zero
第十四章 孤独の匂い
『桟橋』へと乗船の交渉に向かっていたワルドとルイズは、キュルケが結論を出して二分と経たない内に戻ってきた。
二人とも、なんだか困った顔をしたまま席に着いたわけだが。
なにかあったんだろうか?
少しの間を置いて、ワルドは仕方ないといった風に口を開いた。
「アルビオンに渡る"フネ"は、明後日にならないと出られないそうだ」
「こっちは急ぎの任務だっていうのに……」
口を尖とがらせたルイズがそう後に繋いで、才人とギーシュはあからさまにほっとした様子を見せた。
これで明日は休んでいられるわけだ。体力が切れてる身としては、一安心もする。
キュルケは、はてと首をひねって二人に尋ねる。
「あたし、アルビオンに行ったことないからわかんないんだけど……、どうして明日は船が出ないの?」
確かに、日によって船が出港出来ない・・・・というのは甚はなはだ疑問である。
ルイズをなだめていたワルドが振り向いてその疑問に答えてくれた。
「明日は風雅エオーの日だろう?
それに加えて、白の国アルビオンは今、ラ・ロシェールに最も近い位置にまで来ている・・・・んだ。
まともなフネでは、航続距離が短すぎて港の高さまで届かなくなる」
……すまん、解説は理解できるようにしてくれないか?
届かなくなるとか、近い位置まで来ているとか、なんのこっちゃ?
ファンタジーの世界なんだし、ひょっとして国そのものが動いてるとか?
……んなわけないか。疲れた頭でもの考えると変になるよな。
そう自嘲気味にサイトは結論する。
「さて、それじゃあ今日はもう寝よう。部屋を取ってきた」
ワルドは、三つの鍵束を岩のテーブルに置いた。
……ん? 三つ?
「ギーシュとサイトは相部屋だ」
こいつとかよ、とギーシュを睨みつける。
「後続の二人も相部屋を使ってくれ」
……ちょっと待て?
俺とギーシュで一部屋。
で、キュルケとタバサで一部屋。
これで、鍵は残り一つ、ってことは……。
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