いつかの面影
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ほうを……、え?
何故か、お姫さまが俺の方を見つめている。
タバサとはまた違う、穏やかで柔らかな、南の海の淡い水色の瞳が色濃く光っている。
気まずく少し逸らした目に映る栗色の髪は、肩の上でさらりと泳いでいた。
思わず引き込まれそうなほどに美しい。
っていうか、なんで俺は見つめられているのかと問いたい。
あの、と声を出そうとした出鼻を、明るいその声に挫くじかれた。
「頼もしい使い魔さん」
「へ? あ、俺?」
頼もしい、と形容されたのは、実のところこれが始めてである。
いや、キュルケに言われたことが……、無かったなぁ、そういえば。
まあそんなわけで、俺はちょっと嬉しくなった。
ルイズが冷たい視線でこっちを見つめてる気がするが気にしたら負けだ。
気にしなかったところで、何かに勝てるわけでもないけどな。
そうこう脱線した思考を展開していたら、お姫さまが左手を差し出してきた。
「わたくしの大事なおともだちを、これからもよろしくお願いしますわね」
だそうですが。
この左手は一体なんでしょうかお姫さま。
握手、にしては掌が地面に向けられているし。
……あれ、なんかこういうシーンをなんかの漫画で見たような気がするんだが。
なんのボディランゲージでしたっけか。
教えてってか助けてご主人、とルイズの方に顔を向けたら、目がひん剥かれててびびった。
その顔は怖いぞ、いくらなんでも。
「いけません、姫さま! そんな、使い魔にお手を許すなんて!」
そうルイズが叫ぶ。
お手を許す。
そういや、そんな呼び方されてた気がするなぁ。
相変わらずどうやるんだったか思い出せねえけど。
「いいのですよ。この方はわたくしのために働いてくださるのですから。
忠誠には、報いるところがなければなりません」
「はぁ……」
……まあ、要するに人間扱いしてくれている、ってことでいいのかこれ?
ああ、そう言われてみればなんだか女王と騎士の会話シーンで似たようなことやってたな。
思い出したことは思い出したんだが……、本当にこれであってんのかね。
人間扱いしてくれてる人に間違った礼は返したくねえし……、しゃあねえか。
「なあルイズ」
「あによ」
「それで俺は、この手をいったいどうすりゃいいんだ?」
いやそこで、は? と固まられても困るんだが。
だから俺はそういうのわからねえんだってば。
「ああ、そういえばあ
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