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fate/vacant zero
いつかの面影
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…なんか色々よく分からない単語が出てきたな。


 アルビオン、ってのは多分行き先の名前だろう。

 お姫さまの表現からすると、国か?


 その国のウェールズっていう……、コウタイシって皇太子? 王子さまか。……に、会いに行くのが目的と。


 ニューカッスルはなんだろうな。

 城か街か、それともなんかの地名か。


 ジンを構えて、ってのは更によくわからないんだが。

 ジンってなんだ?



 そうこう考えている内に、お姫さまは机に座り、ルイズの羽ペンと羊皮紙を使ってさらさらと手紙をしたためていた。

 すすすっと滑らかに筆を進めていたお姫さまだったが、紙の最後の方に手がかかった辺りで、ぴたりと動きを止めた。



 そのまま何秒か待っても、動かない。

 訝いぶかしんだルイズが声を掛ける。



「姫さま? どうなさいました?」


「な、なんでもありません」


 そう言って首を振るお姫さまの顔は、どう見ても大丈夫そうには見えない悲しげなもので、それでいて妙に赤かった。


 それからまた何秒か考え込むように宙を眺めていたお姫さまだったが、不意に一頷きしてなにやら一行ほど書き加えた。

 ぼそぼそと何事か呟いていたようにも見えたが、俺の耳では何を呟いたかまでは分からなかった。


 お姫さまの隣に立っているルイズは何か聞こえたのか、沈痛といってよさそうな目でお姫さまを見つめている。


 己で書いた密書を検あらため問題が無いことを確認したお姫さまが、くるりとそれを巻いて杖を軽く振った。

 蝋ろうが一雫……むしろ一塊ほど密書の継ぎ目に貼りつき、そこにお姫さまの手で紋章っぽい跡の判子が押された。


 花押かおうだっけ?


 ともかくそうして完璧に包装された密書が、ルイズに手渡される。



「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」


 それからお姫さまは右手薬指から指輪を外して、それもルイズに手渡した。

 中心にはめられた一際目を引く大振りの青い石は、サファイアだろうか?



「母から頂いた『水のルビー』です。危険に赴くあなたがたへの、せめてものお守りです。
 お金が心配になったら、売り払って旅の資金に充ててください」


 ありゃ、ルビーだったのか。

 ルビーって赤いのだけじゃなかったんだな。


 ルイズは、深々と頭を下げている。



「この任務にはトリステインの未来が掛かっています。
 母の指輪が、アルビオンに吹く猛き風からあなたがたをお守りくださいますように」


 お姫さまはそう言って、俺の
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