いつかの面影
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が恭うやうやしく一礼をするのを横目に見ながら、才人は先ほどの問題発言について考えている。
その、ってことはつまり、お姫さまがルイズに話したのも困難な任務とやらのことだろう。
「あなたも、わたくしの力になってくれるというの?」
「任務の一員に加えてくださるなら、これはもう、望外の幸せに存じます」
熱っぽいギーシュの口調に、アンリエッタが頬を緩めた。
"も"。
"も"か。
なら、ルイズはその任務を受けたってことだよな。
「ありがとう。お父さまも立派で勇敢な貴族ですが、あなたもその血を受け継いでいるようですね。
ではお願いしますわ。この不幸な姫をお助けください、ギーシュさん」
「はいっ!
……姫殿下が、ぼくの名前を呼んでくださった! 姫殿下が!
トリステインの可憐な花、薔薇の微笑みの君がこのぼくに微笑んでくださった!」
感動のあまり失神したギーシュや冷や汗を流すお姫さまは一時放置して、才人はルイズにいやすぎる確信を確認してみた。
「なあ、ルイズ」
「なによ」
「どこへ何しに行くのかもしらねえんだが、やっぱ俺も行かなきゃダメか?」
「あんたはわたしの使い魔よね」
「そうですね」
「わたしが行くってのに、あんたが来ないでどうすんのよ。
剣買ってあげたんだから、そんぐらいしなさいよね」
「ですよねー……」
はあ、と諦めの溜め息をついて、事情の説明を求めることにする。
流石になんも知らないままで任務に就けとかは無理だ。
ちったあ事情を教えてくれと言ってはみたんだが、丁重に断られた。
曰く、
「あんたが話の途中で勝手に出てったんじゃない。
なんでわざわざわたしがあんたなんかの為に説明してやんなきゃなんないのよ。
第一、あんたの仕事がわたしの護衛以外にあると思う?」
だそうな。
そりゃ確かにそうなんだけど、なんか納得いかないのはなんでだろうか。
もう一度諦めの溜め息をつく俺を尻目に、ルイズは真剣な声でお姫さまに告げる。
「それでは明朝、アルビオンに向かって出発するといたします」
「よろしく頼みます。
過日の情報によればウェールズ皇太子は、ニューカッスル周辺に陣を構えていると聞き及びます」
「承りました。
以前、姉たちとアルビオンを旅したことがございますゆえ、地理には明るいかと存じます」
「旅は危険に満ちています。
アルビオンの貴族たちは、あなたがたの目的を知れば、ありとあらゆる手段を用いて妨害しようとするでしょう」
…
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