いつかの面影
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んた平民なんだっけ……。――そうよね、平民なのよね!」
二回言うな。
っていうか、なんか昨夜ゆうべから色々とオカシくないかこいつ。
具体的にはテンションとか、正気とか。
しきりに頷くルイズをやや呆れ気味に眺めてたら、ようやくいつものように得意げに指を立てて、ルイズが喋りだした。
……ルイズはこうでないと落ち着かない、なんてのは妄言だろうか?
「それじゃ、まずその手を片手で取りなさいな、犬」
だれが犬か。
是非とも反論したいところだったが、流石にこれ以上お姫さまを待たせちまうのも失礼だ。
礼を済ませた後でたっぷりと反論してやろう、と思いながら。
なんとなく礼してる間に忘れそうだけど心底どうでもいい。
手がやわっこくて気持ちいい。タバサの手もあったかくて柔らかかったけど、それともまた違った柔らかさだ。
タバサのはしなやかで、お姫さまのは純粋に柔らかい。
てーか、ほよほよしてr
「なにニヤケてんのよこの犬は。ほれ次、さっさと跪ひざまずく」
だから犬って言うな。
なんか機嫌の悪いルイズに頭を押さえつけられて、強引に足を崩された。
両足の膝がついちまってんだが、いいのかこれ。
「いいワケないでしょうが犬。片足はちゃんと立てなさい」
お前がやったんだろうが!
いや、平常心平常心。
い、犬なんかじゃないんだからね!
――平常心だ。壊れんな才人おれ。
片足だけを立てなおして、正面にある手の甲を見つめる。
なにやら、変わった手袋だ。
中指だけで引っ掛けていて、指は完全に剥きだしになっている。
で、ここに俺はどうすりゃいいんだ?
いや、ここまで来たらもう後はだいたいわかるんだけどな。
念のためだ、念のため。
所詮は漫画の知識だし。
「はい、それじゃその手にキスしなさい」
漫画の知識でよかったらしい。
言われたとおり、その手にキスをする。
微妙に外して中指の一番長いとこにしちまったが、まあいいだろ。
「よろしい。あとは、後ろへ下がるように立ち上がって、終わりよ」
そうか。
意外とやってみたら楽しいもんだな、こういう作法って。
そう思いながら立ち上がって。
素肌にキスされたのが恥ずかしかったのか、妙に顔を赤くしたお姫さまと。
そのお姫さまを見てまた冷たくなった視線で俺を見つめているルイズの姿が、非常に印象的でした。
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