第二部
風の驚詩曲
乳姉妹の憂鬱
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二振りは感心したようにそう言った。
シェルの呟きが物騒なことに突っ込んだら負けかなと思っている。
はあ、と溜め息をつき、デルフを背負い、シェルを片手に持ち、フレイムを促して、取り急いでルイズの部屋へと向かった。
ルイズの部屋前に着くまでは「はやくルイズを起こさねえと」っていう意思が頭を覆っていたので、部屋に鍵が掛かっているのを完璧に忘れていた。
どうやら、日課や習慣というやつには恐ろしい魔力が篭っているようだ。
なんせ、半ば無意識だからな。
キュルケの部屋に戻っていくフレイムに手を振り、とりあえずルイズの部屋の戸をノックしてみる。
1回。反応なし。
2回。反応なし。
3回。「だれ?」と返事が聞こえた。
「俺だよ」
かちゃ、と音がして、制服に着替えたルイズが扉を開けて出迎えてくれた。
「なんだ、あんたか。どこほっつき歩いてたのよ? ……まさか、キュルケの部屋じゃないでしょうね」
それこそまさかだ。
っていうかひでぇ言い草だな。
「ちげぇよ。お前が鍵かけてて部屋に入れなかったんじゃねえか。お蔭で昨夜はフレイムとデルフとシェルとで屋上で雑魚寝だ」
う、とルイズが申し訳なさげな顔になって、一歩引いた。
「そ、そうだったわね。まあいいわ、ささ、ほら、はやく食堂に行きましょ。さささ」
と背中をぐいぐい押してくる。
まあ、それ自体は別に問題ないんだが。
「まだ早すぎるんじゃねえか? さっき日が昇ったばっかだぞ?」
いいから、と妙に慌てたルイズの様子に、これは反論するだけ無駄か、と二週間あまりの間で培つちかった才人の直感は告げていた。
「ところで、シェルって誰よ?」
ああ、そういやルイズはまだ名前知らなかったんだっけ、と思い出した。
タバサから借りたナイフの名前だよ、と教えてやると、なんかいきなり不機嫌になった。
なんでだろうね?
まあ、それから小人形たちアルヴィーズの食堂に赴いて、一番乗りだったり、サラダとスープの素朴すぎる味わいが懐かしく思えたり、たまたま近くに座ってたタバサにシェルを返却したり、食後の掃除と洗濯をデルフに茶化されたり、実験で試し切りしてみた錆びまくりのはずのデルフの切れ味が妙によくて驚いたりしたが、まあよくあるいつもの一日だった。
その昼下がりまでは。
いつものように厨房を訪れ、
いつものようにシエスタから賄い食のシチューを恵んでもらい、
い
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