暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
第二部
風の驚詩曲
乳姉妹の憂鬱
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てもらってここまで運び込んだのだが。

 ベッドに座らせてからというもの、ずっとこうやってぱっと立ち上がっては座り、立ち上がっては座りを繰り返している。



 キュルケの方は……、まあ、タバサにエラいことされて正気に返っていた、とだけ言っておく。


 あとは何も言うまい。

 俺は何も知ラナイ。



 今の問題はそっちじゃないしな。

 これでもう何度目になるやら分かったもんじゃないが、ルイズに声を掛けてみる。



「お前、ヘンだぞ」



 ルイズは応えない。


 ぼーっとしている。

 立ち上がって傍へ近づき、目の前で手をひらひらと振ってみる。



 ルイズは応えない。


 視線はあらぬ宙へと向いている。



「ヘンだぞー」


 ルイズの髪をくいくいと引っ張ってみる。

 そのきめ細やかな緩いウェーブの掛かった髪は、軽く引っ張っただけでちぎれそうな錯覚すら覚えさせたが、なかなかどうして頑丈である。

 うん、興味深い。ってちげえだろ俺。



 しばらくそのまま反応を待ったが、やはりルイズは応えない。

 痛覚無くなってるんじゃねえか、と少し不安になった。

 いやな予感に駆られ、なんとなく頬をぎゅーっと引っ張ってみる。



 ルイズは応えない。


 大丈夫か? コイツ。



「お着替えの時間です」


 痛みがダメなら羞恥はどうよ、という選択をしてみた。


 恭しくルイズに一礼をすると、ブラウスの襟に手を掛ける。

 そのまますっ、すっと下っていき、ボタンを外す。

 全てのボタンを外し終え、袖から腕を抜いて、ルイズはキャミソール姿になった。



 それでもルイズは応えない。


 夢でも見ているような表情のまま、顔色一つ変えずにルイズは座ったままだ。



 つまらねえ。

 なんだこいつ。



 はあ、とため息をついて才人は巣に戻ろうとした。


 あまりにも無反応すぎて、純粋に興味を失ったらしい。

 この辺りはキュルケに通ずるものがあるようだ。



 よいせ、と巣に腰を下ろしたとたん、ドアがノックされた。

 誰だ? と才人は再び立ち上がった。


 規則正しくノックは繰り返されている。

 たん、たん、たんたんたん。長く二度、繋げて三度。


 誰かはわからんがルイズはアレだし、一応出てみようかと腰を浮かしかけて。

 何故かルイズが復活しているのに気付いた。



 視界の隅、いそいそとブラウスを着込んで立ち上がっている。

 もしやあの貴族のヤローか、と何
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