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ある晴れた日に
183部分:さくらんぼの二重唱その一
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さくらんぼの二重唱その一

                 さくらんぼの二重唱
 助六の準備は進んでいく。この日は学校の体育館を使って衣装合わせだった。
 体育館は他の学校の体育館と同じで舞台があり運動する場がある板張りの場所だった。皆その黄色い木の世界でそれぞれ衣装合わせや大道具を作ったりといったそれぞれの作業に当たっていたのだった。はれた
「おい、鋸何処だよ」
「ああ、ここにあるぜ」
 野本に対して野茂が答える。もうその手にその鋸を持っている。
「転がってたよ」
「あれ、そこにあったのかよ」
「ああ、あったけれどよ」
「ちょっと探してたんだけれどな」
 野本はこう言って不機嫌な顔を見せている。上は黒いランニングシャツで下は黄色のジャージだ。相変わらず無意味に派手な格好をしている。
「鋸な」
「って御前今ハンマー使ってるじゃねえかよ」
「その前から探してたんだよ」
 その不機嫌な顔でハンマーで板に釘を打っている。
「ちょっとな」
「その板切るのか?」
「ああ」
 こう野茂に答える。
「こいつを二つにしてな」
「で、使うんかよ」
「そのつもりだよ。しかしこの板な」
 今釘を打っている板を見る。木の台と台の上に置きそのうえで作業をしている。
「随分と堅いな」
「そんなにか」
「鋸通ればいいけれどな」
 首を捻ってさえいる。
「マジでな」
「鋸位いけるだろ」
 深刻な感じになっている野本とは違って野茂は楽観的だった。
「この鋸随分斬れるしな」
「そんなにかよ」
「ああ。鉄でも斬れるぜ」
 こうまで言う。
「何か物凄い鋸だからな」
「じゃあいけるか」
「まあ使ってみろよ」
 野本に対して急かす。
「まずはそれからだよ」
「わかったぜ。じゃあな」
「ああ。それにしてもよ」
 ここで野茂は話を変えてきた。
「何かどんどん進んでるよな」
「そうだよな。衣装合わせどうなったんだよ」
「今やってるぜ」
「今かよ」
「ほら、見ろよ」
 体育館の舞台の方を指差す。
「丁度その最中だぜ」
「何かあっちも話の展開早いな」
 野茂はその舞台の方を見て言った。見れば明日夢も凛もそれぞれの衣装を着て実際にそれぞれの演技にも入っていた。やはり話の展開は早い。
「こんな感じかしら」
「いいんじゃないの?」
 江戸紫の鉢巻に黒い着流しに下駄というその助六の服の明日夢の傘を使った動きを見て凛が言う。凛もまたみらびやかな花魁の服を着ている。
「それで」
「そう。それじゃあこれでいいわよね」
「私はどうかしら」
 凛も凛でその揚巻の服で動いてみた。
「こんな感じ?」
「あっ、いい感じじゃない」
 明日夢は思ったよりも身軽に動く凛を見て笑顔で言う。
「身軽ね」
「普段か
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