第四十五幕:思い出は七色の虹へ
[1/22]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
<i7126|41810>
小鳥の鳴き声で目覚める。以前は蝉の鳴き声だったけど、気が付くと蝉の声はかなり遠く、蝉の種類も異なるようだ。
時崎「意識しないというのは、ある意味怖いな」
窓を開けて、外の空気を頂く。もうすっかり見慣れた景色だけど、違うこともある。小鳥と蝉の声に混ざって秋の虫の鳴き声も聞こえてくる。季節が夏を片付けようとしているようで、少し切なくなるけど、秋は実りの季節だ。俺がここ、民宿風水で過ごしながら作り上げてきた事・・・秋には少し早いけど、実ってくれる事を願っている。窓を閉めて部屋を見る。
時崎「・・・俺も部屋を片付けないと」
七夏ちゃんへのアルバムを眺める。糊は乾いていて、ようやく完成だと言えそうだ。俺が大切な人の為に想いを込めたアルバム。七夏ちゃんの心に届いてくれる事を願い、鞄の中へ大切にしまうその手は、少し震えていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時崎「おはようございます!」
凪咲「おはようございます、柚樹君。七夏なら、お庭に居ると思います」
時崎「ありがとうございます!」
七夏ちゃんを探していた訳ではないけど、凪咲さんの言葉は嬉しい。大切な人と少しでも一緒に居たい願いを叶えてくれるから。
七夏「あっ☆ 柚樹さん☆ おはようございます♪」
時崎「七夏ちゃん! おはよう!」
玄関先から七夏ちゃんが姿を見せる。
七夏「? お外にお出掛けですか?」
時崎「いや、七夏ちゃん、お庭に居るって聞いたから」
七夏「くすっ☆」
凪咲「七夏、ちょっといいかしら?」
七夏「はーい☆ 柚樹さん、もうすぐ朝食出来ますから、待っててくださいです☆」
時崎「ありがとう! 七夏ちゃんを待ってる!」
七夏「え!?」
時崎「一緒に朝食!」
七夏「あっ、はい☆」
居間で七夏ちゃんを待つ。テレビが点いていたので、なんとなく眺めているけど、よく考えたら七夏ちゃんの家では珍しい事かも知れない。
七夏「どうしたの?」
時崎「いや、テレビが点いてるのが珍しいなと思って」
七夏「えっと、お父さんが−−−」
時崎「え!?」
七夏「あっ!」
テレビに、見た事のある光景があった。
七夏「お母さぁーん!」
時崎「七夏ちゃん!?」
凪咲さんもテレビを見にきた。
テレビに映る「C11蒸気機関車」と、昨日の直弥さんの言葉で状況を理解できた。蒸気機関車イベントで活躍したC11蒸気機関車を、取材放送しているようだ。
七夏「あ、お父さん! 今、少しテレビに映りました☆」
凪咲「ナオ・・・」
テレビに少しだけど直弥さんが映った。俺もその様子を眺めながら、七夏ちゃん、凪咲さんと同じような嬉しく誇らしい気持ちになっていた。
凪咲「七夏、あまりテレビに近づき過ぎ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ