SS3 食べちゃいけないメインディッシュ
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うかな〜。アイツに、オオカミがこの市にいるってことがバレちゃったから…。」
「ごめん…。」
「もういいの。バレるのがちょっと早くなっただけって思うから。」
「うっ。」
何度も謝るカズのおでこを、カンナがデコピンした。
「でも、そろそろ、いいよね。」
カンナは、口元を歪めて笑った。
「そろそろ、私達も動こう。そのための“スパイス”は出来てる。」
そう言ってカンナは、ポケットからグリーフシードに似てるようで似てない、奇妙な種のようなモノを取り出した。
「それは…。」
「イーブルナッツ、とでも名付けようか。さっきの奴らの中の二人の魔法を使って、作った、グリーフシードの贋物みたいなものよ。こいつを移植すれば、魔女もどきが簡単にできあがる。でも、これは前菜に過ぎないからね。食欲を増進させる前菜があって、初めてメインディッシュが引き立つんだから。」
アハハハっと、カンナは、腹を抱えて笑った。
「そのためにも、まずは『かずみ』を強奪して迎える準備もしなくっちゃ。」
「かずみ…。」
「そんな顔しないで。だいじょうぶ。あなたの“妹”は、私達が迎え入れなきゃ。そうでしょ?」
「…うん。」
「きっと喜ぶはずだよ。“お兄さん”がいるって聞いたら。だから、そのためにも、カズは死んじゃダメ。全人類を滅ぼして、私達ヒュアデスが繁栄するためにもね。いい?」
「分かった。」
「良い子ね。カズ。私のオオカミさん。」
カンナは、ニッコリと笑って、カズの頭を抱きしめた。
カズは、カンナの胸に顔を押し当てる形になり、その温もりに身を委ねるように目を閉じた。
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