暁 〜小説投稿サイト〜
戦闘描写練習文──ラインアーク攻防──
ホワイトグリント撃破(序)
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である彼には関係ない話だ。目の前に問題の依頼があり、それを拒否できないのはほぼ決まっているのだから。
「どうする?」
 彼のオペレーターが傍らに立ち、彼の答えを求めた。彼にとって師と言ってもいい相手の問いに、彼は一瞬だけ考え、はっきりと言いきった。
「……受けますよ」
 それに対し、オペレーターは一言だけ質問を返した。
「理由は?」
 彼はそれに答える理由は持っていなかった。
「走らない山猫に存在意義があると思いますか?」
 それでも、彼にとって飛び続けることに一片の疑問の余地もなかった。
「……そうだな」
 少しの沈黙をおいて、オペレーターが返答する。彼がリンクスとして生きるなら、それ以上に必要なことなど何もありはしなかった。


──そのはずだった


1730hrs. 17 April 2165
Area:Line Ark
Object:KILL"White Glint"


 ……紅く染まり始めた空が、接近する白い機体を淡く光らせる。
『こちら、ホワイトグリント、オペレータです』
 特徴的なOB(オーバードブースター)を吹かしながら接近する白い機体。生ける伝説にして地上に住む人間の希望。


──ホワイトグリント(白い閃光)


『あなたたちはラインアークの主権領域を侵犯しています。速やかに退去してください』
 それを駆るのは世界を変えて見せた最強のリンクスにして、大切な物を失い続けた悲劇の英雄。


──ラストレイヴン(最後の鴉)


『さもなくば実力で排除します』
 "彼"は何も語ることなくそこに佇み、戦争の始まりを待っていた。
『フン、フィオナ・イェルネフェルトか。アナトリア失陥の元凶が何を偉そうに』
 それに対して挑発的に返答してみせる声が一つ。今の時代の最高峰リンクスの一人、ランク1の毒舌家、オッツダルヴァのものだった。
『ホワイトグリント、大げさな伝説も今日で終わりだ』
 そして彼はその矛先を伝説へ変える。
『進化の現実って奴を教えてやる』
 まるで愚弄するかのように、何処までも芝居がかった台詞を投げかけた。
『……行けるな、貴様?』
 ランク1の声が首輪付きに対する物に変わり、幾分か口調が柔らかくなる。
「……ええ」
 小さな返答を返し、彼はストレイドのOBを発動させた。
『じゃ、始めようか』
 オッツダルヴァの駆るネクスト、ステイシスもOBを発動。
『ミッション開始! ステイシスと協同し……』


──貴方を落とす


『ネクスト"ホワイトグリント"を撃破する!』


──答えを見つけるために


 中量タイプの高速ネクスト2機は音の壁を越えた加速でラインアークの本拠地、海上都市へと突撃した。

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