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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 18
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やくそくは、まもらなきゃだめだよ!?」
 「そうだろう? 約束は守らなきゃ駄目だ。約束を守らない奴は嘘吐きだ。嘘吐きは悪い奴だ。そうだよなぁ?」
 「うん! うそはわるいこと! わるいことは、しちゃだめなの!」

 「じゃ、やっぱり「ぷりしらさま」は悪い奴だな?」

 「え」

 嘘は良くないと身を乗り出して大袈裟なほど勢いよく首を上下させていた幼女の動きが、ぴたりと止まる。

 「なんで……? ぷりしらさま、やくそく、やぶったこと、ない……」
 「国民はなぁ。一部をお前ら孤児の生活資金として使いますよって約束の上で税金を納めてんだ。なのに「ぷりしらさま」ときたら、孤児院で消費されるべき金を、国民に一言の説明も無く、黙って自分の家に持ち帰ってんだぜ? しかも、国内各地に在る孤児院それぞれから、毎年三分の一ずつだ。具体的な金額までは知らないが、それはどうやらオレが想像してるよりもずぅーーっと多いらしいぜ? そんだけあれば、お前らもお前らの仲間も、もっともっと快適に生活できてただろうに。もっとたくさんの孤児が救われてただろうに。とんでもねぇ話だよなぁ? これが「悪い事」じゃないなら、何だってんだ? ん? 言ってみな?」
 「だまって……? ぷりしらさまが……?」
 「それが横流しって言葉の意味だ。悪い事は駄目だって言ってたコイツこそが、裏でコソコソと悪い事をやってたってこった。残念だったな、クソガキ!」
 信じられないと顔に書いて固まるミネットを横目に、クァイエットは声を上げて笑う。
 ざまあみろと心底嬉しそうに、裏切りが発覚した現場を笑い飛ばす。
 が。

 「……なぁ、おっさん」

 不快そうに眉を寄せているマイクが、いつの間にか少しだけ開いていた扉の向こう側から、不機嫌な声で話の流れに水を差した。
 「誰がおっさんだ、クソが。ぶっ殺すぞ!」
 「こえがデカイよ、おっさん。それよりさ、プリシラ……さま、が、うんえーしきんのいちぶをこーしゃくけに入れてるってはなし、オレもミネットもほかのみんなも、しってるぞ?」
 「え?」
 「はぁ?」
 扉を大きく開き、重い足取りで室内に踏み入るマイク。その二、三歩後ろに
 「貴族(わたしたち)も勿論、伺っていますよ」
 「……っ!?」
 失礼しますと言ってきっちり頭を下げてから入室した、戦闘服姿のベルヘンス卿が付いて歩く。
 「まえにいってたもん。ほんとうはもうすこしらくにさせてあげられるんだけど、こっちもだいじなことだからって」
 「ええ。短期的には多くの難を伴いますが、長期的に見れば此方のほうがよほど重要と言えるでしょうね。生活資金という名目からも外れてはいません。従って、我々がアヴェルカイン公爵閣下を罪人と断ずる事はできません」
 「な、ぁ……っ!?」

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