第18話
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腕前を見たいと言われてレンチェフが連れて来られたのは、格納庫。ジオンのモビルスーツに比べるとずっと小さいモビルスーツ、ストレイド曰くのACが数十機も並ぶ中、少し離れた一画にそれも並んでいた。
史上初の実戦モデルのモビルスーツ、歴史を変えた新兵器。後継機である新型ザク、MS―06の配備に伴い、旧ザクとも呼ばれるようになったソレ。
MS―05 ザクT
野良犬、レンチェフ、女兵士の三人はエレカに乗ってACの前を素通りし、真っ直ぐザクTの正面へ向かい、
「この先だ」
そしてザクTの前を通り過ぎた。
「……ちょ、待て待て待て待て待て」
慌てて声を上げ、運転席にいた野良犬の腕を掴んだのはレンチェフだ。
「運転中に掴むな。危ないだろう」
「んなこたぁどうだっていい! ザク過ぎたぞ! 後ろのアレだ、アレ」
エレカを止めた野良犬はバックミラーでレンチェフの指差す緑の巨人を一瞥すると、一つ頷いてアクセルを踏んだ。
「そうだな」
「……だから待てって! 俺はザクに乗る為に来たんだろ!?」
「そうだ」
「そうだ!? 今すっげぇ勢いでザクから遠ざかってんだが!?」
腕前を見せろと言いつつ乗せる予定のザクに乗せないとはなんなのか。
「それなら何のテストなんだ? 俺は生身の白兵や射撃も得意っちゃあ得意だが、爆発物はせいぜい『使える』くらいだぞ。ガスなんてお手上げだ。お宅らと違って、俺はプロのテロリストじゃねぇんだ」
「安心しろ、ミスターが今日乗る機体は別にある。モビルスーツはザクだけではない」
数分後。
ストレイドは自慢気に腕を広げた。
「さて、これがミスターに今回乗ってもらうモビルスーツだ」
隔壁と通路をいくつか通った先にある別の格納庫……の更に先。地下施設とは思えない広さの基地をエレカで走り、実は野良犬は道を間違えているのではないかと考えた辺りでようやく辿り着いた区画に、それはあった。
赤茶色、黄色、灰色でぐちゃぐちゃに染められたモビルスーツ。鉄色に囲まれた格納庫の中では荒れ地用の迷彩が一際異彩を放っているが、重要なのはそこではない。
頭部の正面を十字に走るモノアイレール。スカートで覆われているものの、推進機が配置されていることがわかる腰回りと脚部。パーツの一つ一つは太く、下に向かって広がる三角形をイメージさせる配置は重厚な安定感を窺わせる。
どこを切っても、レンチェフの見慣れたザクの系譜を感じさせない機体。
「これは……完全な新型機……なのか?」
「その通り」
ストレイドはレンチェフの疑問に答えると、情けない一言を付け加えた。
「多分」
「多分?」
ストレイドは頬を掻いた。
「……私達は、モビルスーツのこと
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