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人理を守れ、エミヤさん!
地獄の門へ (上)
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る。
 武器弾薬、医療器具、食糧、人員……それらは畑で採れるものではない。敵から略奪するにも限度があるし、故にこそそれを供給してくれる存在がいなければならない。ずばり必要なのは金だ。これがなければお話にもならないのである。

 そもそもの話、ゲリラの究極的な目的とは、決して覆す事の出来ない劣勢の中で、敵対勢力から如何にして譲歩を引き出すかだ。
「もうお前らの相手は疲れた。要求を言え」と言わせられたら漸く勝利である。しかしゲリラは、敵対勢力からすればテロリストでしかない。敵からすれば「もう我々が勝っているのに、なんでこんな真似をするんだ?」と困惑してしまう訳だ。
 だからわざわざ要求を訊かないし、訊いて調子に乗られても面倒だし、「テロには屈しない」などと言われて擂り潰される。それらの強固な姿勢を打ち崩すほどの活躍をゲリラがすれば、一躍国際テロリストの出来上がりで、色んな国から袋叩きにされ駆除されるのが関の山だ。
 よしんば要求を訊いて貰えたとしても、裏の世界で密かに始末されて「何もなかった。テロリストどもは我々の欺瞞情報に掛かり全滅した」と喧伝されるわけである。

 つまりゲリラは最初から負けているのである。負けているからゲリラをするのだが。

 とまあ、察しの通り、俺はゲリラ戦術に必要な三点の要素を全部満たしていない。
 拠点はなし、支援者なし、現地の協力なし。頭数は俺と小太郎だけ。水を含めた食糧は最小限。敵勢力の頭目も不明。現地勢力とのコンタクトも取れていない。おまけに今後の展望も何もない。唯一の救いは、武器に関しては投影で割となんとかなる事ぐらいだ。
 これでゲリラをするとなったら、目的は一つしかなくなる。それは如何にして敵勢力へ嫌がらせをするか、だ。

「先程フライガイザーの間欠泉を見た。という事は此処はネバダ州という事だ」

 ネバダ州とは砂漠気候と亜乾燥気候帯に大半を占められたアメリカ西部にある州だ。
 夏場の最高気温は五十度を超え、冬の夜はマイナス四十度を下回る。州の大半が砂漠地帯である故に農業は振るわず、利点は豊富な鉱産資源だが今の時代はまだ鉱脈は発見されていないはず。なら乾燥地帯故に疫病が少ない事ぐらいか。
 現代ならいざ知らず、今はアメリカ独立戦争も終わっていない時代だ。ネバダ州の人口は少ないだろう。

「人が少ない、砂漠地帯、おまけに夜が厳しい冬が近い。これだけで移動の理由としては充分だ。現代っ子の俺は冷暖房の効いた温室じゃないと落ち着けないんだよ」
「はは、僕も出来れば部屋でゆっくりしてたいです」
「つくづく気が合うな小太郎」

 微妙な表情で笑い合う。ところでお前の使う忍術がまるで理解できない俺は頭が悪いのか。
 魔術、呪術、陰陽道……どれも違う異能臭い。俺もニンニン言いながら術を使い
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