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ある晴れた日に
137部分:妙なる調和その九
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妙なる調和その九

「曲。それでいいよな」
「それよりもチェッカーズの曲がいいかしら」
「チェッカーズか」
「何となくだけれど」
 はっきりとはしていない返答だった。かなりぼんやりとした感じだ。しかしそれでも述べる未晴だった。
「それ、頼めるかしら」
「わかったよ」
 話を聞いて楽譜をめくりだす。
「それじゃあ。今持って来てるのに書いてあるのは」
「何があるの?」
「ああ、これがあったな」
 楽譜を見て言ってきた。
「これがな」
「これって!?」
「鳥になった少年の唄だよ」
「それなの」
「これでいいよな」
 あらためて未晴に問う。
「この曲で」
「ええ」
 そして未晴も正道のその言葉に頷くのだった。
「それじゃあそれで御願いするわ」
「わかったぜ。それじゃあな」
「それにしてもその曲もマークしてたの」
「言ったろ?好きなんだよ」
 早速鳥になった少年の唄の前奏を奏でだしている。チェッカーズ中期のバラードである。やはりチェッカーズらしい静かで哀愁の深いバラードである。
「チェッカーズがな」
「そういうことね」
「そういうことさ。それじゃあな」
「聴かせてもらうわ」
 微笑んで正道に告げた。
「音橋君のチェッカーズね」
「今からな」
 こうして未晴にその曲を聴かせるのだった。曲を歌う間正道も未晴もそれに集中していた。そしてそれが終わった時。正道は未晴に顔を向けて問うのであった。
「どうだ?」
「いい感じよ」
 微笑んでコメントする未晴であった。
「やっぱり。好きなだけはあるわね」
「上手いか?」
「上手いだけじゃなかったわ」
 未晴はそこだけを見ているのではなかったのだった。
「心もね。感じたわ」
「おっ、そうなのかよ」
 心について言われて顔を明るくさせた正道だった。この辺りは千佳との話と同じだった。
「それもあったんだな」
「あったわ。何かね」
「何か?」
「いい具合にまとまっていて。それが」
「いい具合にかよ」
「何て言うのかしら」
 言葉を選びながら述べる未晴であった。
「調和が取れているっていうのかしら」
「調和が?」
「ええ。上手くは言えないけれど」
 目を左右に泳がせていた。実際に言葉を慎重に考え表現するのに悩んでいるのがそこからわかった。
「鳥になった少年の唄って静かな曲じゃない」
「ああ」
「そこもよくわかっていて」
 慎重に言葉を選び続ける未晴だった。
「それに。チェッカーズのね。こともよくわかっていて」
「勉強はしてるさ」
「そういうのもわかって。調和があったから」
「だからいいのか」
「ええ、そうよ」
 未晴が言いたいのは大体こういうことであった。
「それで。よかったわ」
「そうか。それでか」

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