決着なんだよネロちゃま……!
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得意気なモードレッドである。アルトリアは時折り遭遇する雑兵を蹴散らしながら走るモードレッドに、極めて平坦な声音で溢した。
「マシュ、ネロに地図を。走らねばならない範囲が半減したようです。……モードレッドも偶には役に立つ」
「!? あ、当たり前だ! 何せこのモードレッド様なんだからな! ハハハハハ!」
息を切らして走るネロに声を出す余裕はない。マシュに見せてもらった地図で、×印がつけられた地点を避けて走る。
モードレッドはアルトリアの台詞に過敏に反応して鼻高々だ。絶対それ誉めてない奴だよと教えて上げられないネロやマシュである。なにせモードレッドの喜び様と来たら、水を差すのが気の毒なほどなのだ。現にアルトリアの目は氷のように冷たい。クー・フーリンがおどけて言った。
「おいおい、オルタがいやがるぜ。セイバーはどこ行きやがった?」
「ランサー、私は別に黒化してはいない。単に不愉快なだけだ」
「何!? 父上、いったい何が……畜生! 誰が父上を不愉快にさせてんだ!? テメェか!」
アルトリアの声には常にアンテナでも立っているのか、鋭敏に聞き拾って殺気も露にクー・フーリンを睨み付ける。先頭を走りながらも首を回して、自分を睨んでくる狂犬に彼は苦笑した。
「おう、オレだ。なんなら相手してやろうか?」
「上等だテメェ! 父上を不快にさせる奴はオレがぶっ殺してやる!」
「っ、ダメだコイツ面白すぎる……!」
立ち止まり剣を構えるモードレッドに、クー・フーリンは腹を抱えて笑ってしまった。ネロも釣られて立ち止まると、アルトリアが冷ややかに兜の騎士を一瞥した。
「誰が止まっていいと言った」
「ヒッ! おおおおお、オレ、じゃない私は父上を不快にさせた奴を叩っ切ろうとしてるだけなのに!」
「貴公ではランサーには勝てん。それに貴様……味方に剣を向けるとは何事だ? 死にたいのか貴様。斬るぞ」
「ひぃっ。な、なんなんだ!? なんで父上こんなにキレてるんだよ!?」
「だぁっはははは! ひ、ひぃ、」
クー・フーリンが二人のやり取りで腹を痛そうに押さえて痙攣した。どこがツボなのだろう。ケルト的に平和な親子喧嘩にでも見えているのだろうか。
ネロは両膝に手をついて必死に息を整える。既に一時間は走っているだろう。ネロは頑張った、かなり頑張った。横でコントをされても挫けずに頑張っていた。
アーサー王と反逆の騎士の因縁について、どうしたらいいのかとネロは悩む。息切れしながらもネロはアルトリアに言った。
「き、騎士王よ」
「はい、なんですかネロ」
「父上!?」
ネロが呼び掛けるなり途端に穏やかになったアルトリアの変貌に、モードレッドは目を剥いて驚愕した。
「って、なんだテメェ! 父上に対して気安―
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