第三章
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「人が食べてもです」
「美味しいのですね」
「それで陛下も召し上がられていますか」
「そうされていますか」
「食べてです」
そのうえでというのだ。
「生きる源にしています」
「そこまでのものですか」
「陛下にとってのジャガイモは」
「そうなのですか」
「若しこれがなければ」
ジャガイモがとだ、女帝はここでは少し寂しそうに述べた。
「私はこれ程までには動けないでしょう」
「まるで大蒜や生姜ですね」
「そこまでのものとは」
「それではです」
「我々も」
「召し上がって下さい」
女帝はまたこう言った、そしてだった。
一同はそのジャガイモが入ったフランス風の牛乳のシチューを口にした、外交官達は各国では家畜の飼料であり時には悪魔の作物と呼ばれたジャガイモを恐る恐る口にしてみた、そのうえで食べてみたが。
その味にだ、彼等は驚いて言った。
「なっ、これは」
「これは美味い」
「面白い味だ」
「存外食べやすい味だ」
「口触りもいい」
「そうです、これがジャガイモです」
女帝は自らジャガイモを食べつつ彼等に話した。
「まだ欧州では積極的に食べていませんね」
「はい、どうもです」
「土の中から出ても土の色そのままで」
「形もよくないですし」
「聖書にも載っておりません」
「悪魔の作物とすら呼ばれています」
その外見と聖書に載っていないことからというのだ。
「ですから」
「我々も食べたことがなかったですが」
「これがです」
「食べてみますと」
「存外美味しく」
「我々も驚いています」
「左様ですね。ですが私はこのジャガイモをよく食べて」
そのうえでとだ、女帝は彼等に言うのだった。
「日々政務等に励んでいます」
「このサンクトペテルブルグで」
「そうされているのですね」
「そうです、この街は非常に寒いですが」
女帝もこのことはよくわかっている、寒いロシアでもこの街の寒さは別格と言っていいことをである。
「ですが」
「その寒さもですか」
「ジャガイモを召し上がられて乗り越えられている」
「そうされていますか」
「そうなのです、ですから」
それでとだ、女帝は自らジャガイモが多く入っているシチューを食べていった。各国の外交官達も続いた。
ジャガイモを食べるとだ、彼等は意外な感触を得た。その感触はというと。
「満腹になったな」
「うむ、随分とな」
「ジャガイモを食べた分だけ」
「あれは随分満腹感が得られるな」
「そうだな」
「その分身体が温まる」
腹が膨れた分だけだった。
「これはいい」
「パンよりもいいかも知れないぞ」
「女帝陛下がいつも精力的なのもわかる」
「このジャガイモをいつも召し上がられているとな」
「満腹になってな」
そ
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