第三章
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「名前だけでもだ」
「ローマか」
「そうした場所に連れて行けばどうだ」
トファルドフスキ、彼をというのだ。
「それでどうだ」
「そうだな」
少し考えてだ、悪魔もその通りだと頷いた。
「あいつはとかく用心深く悪賢い」
「悪魔以上にか」
「忌々しいがそうだ」
「ならな」
「ここはか」
「絡め手でいかないとな」
そうしなければというのだ。
「相手はかからないぞ」
「だから名前でか」
「それでだ」
まさにというのだ。
「引っ掛けていけ、要するにローマだな」
「そこで会えばいい」
「ならだ」
それならというのだ。
「ここはな」
「そうしていくか」
「それでことを果たせ」
「わかった、ならな」
悪魔も頷いてだ、そうしてだった。
悪魔は熟考し色々調べてそのうえでだった。
ある日トファルドフスキにこう言った。
「美味い酒と料理を出す旅籠を見付けてきた」
「それは何処にある?」
慎重というか狡賢いトファルドフスキは旅籠の場所を聞くのを忘れなかった。
「一体」
「フィレンツェだ」
この街ないるとだ、悪魔は答えた。
「ローマではない」
「そうか、フィレンツェか」
「何度も行っているな」
「いい街だ」
トファルドフスキは悪魔に笑って答えた。
「非常にな」
「なら知っているしな」
「安心して行ける、ではな」
「行くか」
「これからな」
「案内しよう」
悪魔は自ら案内役を買って出た、そしてだった。
二人は共にフィレンツェに赴いた、悪魔はフィレンツェに着くとトファルドフスキをすぐに旅籠に案内した。
そして一緒に旅籠に入ったがここで悪魔はトファルドフスキに満面の笑みで言った。
「ここまで苦労した」
「その言葉はローマで言うのではないのか」
「だから言っているのだ」
「どういうことだ」
「この旅籠の名前は確認したか」
「いや、それがどうした」
「この旅籠の名前はローマというのだ」
悪魔はここで種明かしをした。
「つまりだ」
「我々はローマで会っているのか」
「そうなる、契約の内容はだ」
「ローマで会った時にだったな」
「つまり今だ」
旅籠だがローマはローマだというのだ。
「そういうことだ、まさか契約を破るのか」
「まさかと言っておこう」
トファルドフスキは笑って応えた、その笑みには余裕があった。
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