第二章
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「絹と陶器の国にな」
「皇帝が治める東の大国だな」
「あの国に行きたいが」
「なら供はしてやる」
「そうか、ではな」
「旅の準備はしておけ」
「そうするとしよう」
優雅に言うトファルドフスキだった、彼はこの様にして幸せな日々を過ごしていたがその中で不安もあった。
痺れを切らした悪魔が自分を強引にローマに連れて行くのではないかと考えていた、それであれこれ考えていたが。
ある日だ、遊郭で美女達を遊んでいる中で美女達にベッドの中で言われた。
「讃美歌を唱えると悪魔は退くそうですよ」
「そうらしいですよ」
「ああ、そうだな」
トファルドフスキもその通りと頷いた。
「悪魔はどうしてもな」
「神にまつわることが苦手ですから」
「だから十字架も教会も苦手です」
「それで讃美歌もなんですね」
「唱えられると逃げるそうです」
「考えてみれば当然だ、ではだ」
それならとだ、トファルドフスキは頷いた。そうしてこのことを覚えておいた。
実際に悪魔は相当に痺れを切らしていた、それでどうにかドファルドフスキをローマに連れて行こうとするが。
彼は相変わらずでだ、用心深くかつのらりくらりとローマに行くことを避けていた。
「気分でないのだ」
「そうか、そう言って遂に二百年だな」
「もう並の者なら死んでいるな」
「あんたの子供は百人を越えたぞ」
それだけ遊んできたのだ。
「一体これまで何人の奥さんと愛人を持った」
「ははは、女と酒と馳走は飽きないな」
「二百年もな、しかしだ」
「ローマだな」
「何時行くつもりだ」
「だから言っている通りだ」
そこはと言うのだった。
「それはな」
「やがてか」
「気が向いたら行く」
「そして俺と会ってか」
「楽しい幕切れとしよう」
「そうか、ではな」
「やがてな」
ローマで会おうというのだ、だが。
悪魔もわかっていた、それで魔界で同僚に言った。
「あいつは死なずにだ」
「ずっと生きてだな」
「楽しく行きたいのだ」
「家はもう宮殿だな」
「大貴族が持つ様なな」
「金銀財宝に囲まれてか」
「毎日美女と遊んでだ」
そうしていてというのだ。
「酒にご馳走にな、服も上等なものばかりだ」
「文字通りの栄耀栄華だな」
「そうして二百年以上だぞ」
「そのまま最後の審判まで遊ぶつもりか」
「間違いなくそうだ」
実際にトファルドフスキはこう考えている。
「もうあいつの魂胆はわかっている、四十年位でわかってだ」
「後の百六十年はだな」
「我慢していた」
ローマには行かないとわかっていてもだ。
「それであれこれと手をやったがな」
「ずっとか」
「逃げられてな」
「百六十年過ぎたか」
「そうなった、しかしな」
「もう我慢の限界か
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