第三章
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「ビョルコリトゥンいるか」
「兄さんいるか」
「ここは何処だ?」
「わからないな」
二人で言うのだった。
「妙だな」
「何も見えないぞ」
「そして動きにくいぞ」
「妙に息苦しいぞ」
「まさか」
「そうだな、そのまさかだ」
「間違いないな」
「やられた」
二人共気付いた、それでムチュヌイは言った。
「あいつ、子供の頃から変わらないな」
「姉さんの悪戯癖が出たな」
今度はビョルコリトゥンが言った。
「子供の頃から悪戯好きだったけれど」
「どうせ酔ってだな」
「そうだな、それで俺達が酔って寝ている間に」
「何かしたな」
「全く、とんでもないことするな」
「覚えていろ」
六つ頭の予想通りだ、二人は怒っていた。それもかなり。
だが今はだ、二人は。
「しかしここは何処だ」
「本当に何も見えないぞ」
「見えないだけじゃない」
「妙に硬くて冷たいな」
「これは鉄か?」
「周りは全部鉄か?」
二人は自分達の周りを手探りしてこのことを察した。
「鉄の箱か何かか」
「そこに閉じ込められたか」
「何て酷い悪戯だ」
「増々許せないな」
二人の怒りはさらに高まった、そしてだった。
二人共自分達の外の鉄を思いきり殴りだした、するとすぐにだった。
鉄はぶち抜かれ破れてしまった、するとそこから水が入ってきた。二人共その水を身体に浴びて叫んだ。
「冷たいぞ!」
「これは海の水じゃないか!」
「あいつ俺達を鉄の箱に入れて海に放り込んだか!」
「俺達じゃなかったら死ぬぞ!」
「くそっ、本当に覚えてろ!」
「出て来たら是たちにやり返してやる!」
二人の怒りを頂点に達した、そしてだった。
何とか鉄の箱から出て海の底から海岸まで出た。その時には服も身体も髪の毛も濡れ鼠で大変だった。
それで二人は海水を近くの川で洗い落として焚火で身体も服も乾かせて暖めた、その時にであった。
ビョルコリトゥンは兄のムチュノイに憤怒の顔で提案した。
「兄さん、服も乾いたらな」
「ああ、絶対にな」
兄も弟に憤怒の顔で応える。
「あいつのところに行くぞ」
「そして気が済むまで殴ってやろうな」
「そうでもないと気が済まないぞ」
「本当にな」
それこそというのだ。
「見ていろよ」
「この怨み絶対に晴らしてやるからな」
二人で誓い合った、六つ頭への復讐を。そして身体が暖まって乾いた服も着てだった。二人は六つ頭が夫と暮らす家に来てだった。
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