第四章
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「逆にチンパンジーは良識派でな」
「むしろゴリラの方が良識派ですか」
「チンパンジーは凶暴だよ」
むしろこちらの方がとだ、教授は断った。
「ニホンザルにしてもヒヒにしても。マンドリルもだね」
「むしろあれ位の猿の方がですね」
「凶暴なのだよ」
「意外ですね」
「あとオランウータンも大人しい」
東南アジアのジャングルにいるこの大きな猿もというのだ。
「力は強いが」
「何か全然違いますね」
「イメージはイメージだよ」
それに過ぎないというのだ。
「現実と違う場合もあるということだ」
「現実はどうか」
「この様なこともあるのだよ」
ゴリラの様なことがというのだ。
「このことは覚えておいてくれ」
「わかりました」
日吉は教授の言葉に頷いた、そしてだった。
それからゴリラをはじめとして他のサル科の生きもの達のことを大学の蔵書を中心に学んだ。そうしているうちにだった。
道を見出した、それで教授に話した。
「教授に勧められましたが」
「動物園に進むか」
「はい、学芸員の資格を手に入れて」
そうしてというのだ。
「そのうえで」
「そうか、ではな」
教授は彼のその言葉を受けて頷いてだ、彼に話した。
「私も紹介させてもらう」
「動物園をですか」
「いい動物園を知っている」
「だからですね」
「そこに進むといい」
こう彼に言うのだった。
「大学を卒業したならな」
「有り難うございます」
「動物園、サル科の生物の飼育をするか」
「それが出来れば」
まさにと言うのだった。
「嬉しいと思っています、思えば」
「どうしたのかね」
「はい、僕はこの顔です」
日吉は笑ってだ、自分のことも話した。
「昔から猿と言われていました」
「私は人の外見は気にしないが」
そして言わない、教授は理知的な紳士であり人に対してそうしたことは言わないのだ。この辺り実に学者らしいだろうか。
「そう言われるとな」
「猿顔ですね」
「そうだな」
「それで猿と言われてきましたし名前も」
日吉は自分のそれのことも話した。
「日光で日吉ですから」
「どちらもだね」
「やはり猿なので」
「余計にだね」
「言われてきました」
猿と、というのだ。
「そうでした、その時や名前や顔だけでしたが」
「それはだね」
「縁、運命でしょうか」
「君自身の」
「はい、猿に関わっていくのなら」
動物園に入ってサル科の担当になるのならというのだ。
「そうかも知れないですね」
「そうか、君は猿とか」
「縁があり」
そしてというのだ。
「就職もです」
「若しサル科の何かの生きものの担当になれば」
「まさに運命だったのでしょう」
「そうした運命もあるか」
教授は日吉の言葉を
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