第三章
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言っているうちに泣いて何度も言葉が止まった、その私にだった。
ちいちゃんは黙って聞いてくれてそれで言ってくれた。
「忘れよう、それで言って来る連中はね」
「ちいちゃんがなの」
「引き受けるから、それでその振った奴はね」
「どうするの?」
「見ていて、人を外見だけで判断して馬鹿にする様な奴は」
それこそと言ってくれた。
「碌な奴じゃないから」
「だからなの」
「振られても気にしないの、それで手の平返しをする奴も」
「友達じゃないの」
「そうよ、だからね」
「それでなの」
「気にしない、下らないこと言う奴もそれまでだから」
その程度、そうした返事だった。
「だからね」
「気にしないでなの」
「やっていけばいいから」
「そうなのね」
「だからね」
ちいちゃんは私に笑みを浮かべて言ってくれた。
「私と一緒にいて、辛いなら」
「それでなの」
「信じなくてもいいから。けれど私はいつも一緒にいられる様にするから」
「有り難う」
私は泣きながらちいちゃんに応えた、そうして次の日から登校したけれどだ。
ちいちゃんと登校の時も一緒でそれでだ、私が傍にいても笑顔でいてくれて下らないことを言う人間がいてもだ。
「それで?あんた同じことされてみる?」
「それがこの娘の今にどう関係あるの?」
「あんたが同じことされたらどう思うの?」
こう言って全部はじき返してくれた、そうしてくれているうちにだ。
私に言う人はいなくなった、それでだった。
私に穏やかな日常が戻った、ちいちゃんには心から感謝した。拒食症から復活するには結構時間がかかったにしても。けれどこの時にわかった。
失恋して手の平返しをされて言われ続けてだ、私は絶望した。そして引き篭って誰も信じられなくなった。そのことからだ。
私は自分が弱い人間だとわかった、誰よりも強い人間じゃなくて弱くて脆い心の持ち主だとだ。この時でわかった。私は二度とあんな思いはしたくないと思ってそれと一緒に自分が弱い人間だとも知った。それをちいちゃんに話すと。
誰だってそうだよとにこりと笑って言ってくれた、そしてちいちゃんみたいな娘こそが一番強いのだとわかった。だからちいちゃんが余計に好きになった。
ガラスの心 完
2018・8・1
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