第二章
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その娘が来たとわかってだ、私はベッドの中から言った。
「どうして来たの?」
「どうしてって?」
「ええ。私なんかもう」
「話、聞いたわ」
ちいちゃんはベッドの中の私に言ってきた。
「失恋したのよね」
「・・・・・・・・・」
私は答えられなかった、答えるにはあまりにも辛かった。
だがその私にだ、ちいちゃんは言ってきた。
「一緒に学校に行こう、それでね」
「それで?」
「私と一緒にいて」
「ちいちゃんと?」
「そう、若し何か言う奴がいたら」
その時はというのだ、失恋のことが言われるのが嫌でそれで登校しなくなった私に対して。
「私が引き受けるから」
「信じられない」
私はこうちいちゃんに返した。
「だって今の私は」
「友達と思っていた娘達によね」
「手の平返されてだから」
「その話も聞いたわ、私もよね」
「御免」
本当にだった、クラスの皆にいつも言われている。授業中でも皆の視線が怖い位だ。それで登校しなくなった位だ。
そんな状況だからだ、ちいちゃんもだった。
「今は」
「信じなくてもいいから」
これがちいちゃんの私の返事だった。
「私のこと」
「いいの?」
「学校来たくなったら言って、私毎日来るから」
「毎日なの」
「そう、毎日来るから」
こう私に言ってくれた。
「だから」
「そうなの」
「そう、だからね」
「明日も来てくれるの」
「そうしていい?」
「好きにして」
信じられなくてもちいちゃんなら子供の頃から一緒だ、こんないい娘はいないとも思っているからだった。来るなとは言えなかった。今の私でも。
それでだった、こう返した。するとちいちゃんはこの日は帰ったけれど。
次の日また来てくれた、そして次の日も。そんな日が五日位続いてだった。
私は遂にだ、扉を開けた。そうしてちいちゃんを迎え入れて話をした。その失恋のことを。
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