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ポケットモンスター〜翠の少年の物語〜
第三話
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「おお、ユウキ!丁度いいところに!」

 センリさんは少しだけ嬉しそうな顏をすると入ってきた白い髪の……いや、白を基調とした縁が緑色のニット帽を被った男の子を手招きする。

「この子は、ミツル君。訳あって、これからポケモンを捕まえに行くんだ」
「ふーん…………俺はユウキ。今日ミシロに越してきたんだ。よろしく」
「よ、よろしくお願いします……」

 センリさんに紹介されたユウキさんは僕に向かって手を差し出してきた。僕は遠慮がちにその手を取った。
 僕より背の高いユウキさんは若干大人びて見えた。本当に僕と二つしか違わないのか、そんな落ち着きが見えた気がした。
 ……って、あれ?

「今日越してきたって……?」
「ん?ああ、俺と母さんはジョウトに住んでてな。それまでは親父が一人でこっちに住んでたんだけど、何やかんやあってな……」

 と、僕の手を離して、少し恨めしそうにセンリさんの顔を睨み付けるユウキさん。どうやら、センリさんとの間で色々あったらしい。センリさんは少し目を逸らしていた。

「……お疲れ様です」
「あぁ……ありがと」

 ユウキさんに同情の目を向ける僕。ユウキさんは僕の顔を見て、溜め息をついていた。

「と、ともかくだな……ユウキ、私はこれからリーグの会議に出なければならないんだ。だから、ミツル君に色々と教えてやってくれ」
「……は?」

 センリさんは話を逸らそうと本題に入ったが、余計にユウキさんは怪訝そうにセンリさんを睨み付けていた。と言うかセンリさん、伝えるタイミング悪すぎでしょう?

「ジムへの挑戦はもう少し待ってくれ。ある程度実力が付いたら、バトルしようじゃないか」
「待てコラ親父。話を進めるな。バトルするけど、色々と足りなさ過ぎるだろ」
「ジムの鍵は閉めたら母さんに渡しておいてくれ」
「せめてテメェで閉めろよおい」
「冷蔵庫のプリンはケッキング用だから食ったらダメだぞ?」
「親父のケッキングは相変わらずか……いやそうじゃなくて」

 何か言葉を発する度に、息子であるユウキさんからの視線に怒りの色を混ぜていくセンリさん。軽く話を聞いただけだが、どう考えてもセンリさんの立場が弱すぎる。いったいどれだけのことをしたのだろうか。

「おっと!もう行かなければ!会議に遅れる訳にはいかないからな!これ、ジムのカギ」
「後で覚えとけよオイ」

 悪態をつきつつ、渋々といった感じでカギを受け取るユウキさん。

「なんだ?ミツル君に教えるのが嫌なのか?」
「ちげぇよ。単純にいきなり言ってきた親父に腹立ててるだけだから」
「それじゃ、行ってくるミツル君によろしく」

 これ以上傷口が広がることを防ぐためか、センリさんはそそくさとジムを出て行った。
 ジムの中には、
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