第七十四話
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は傷つかねぇよ。だから、もし今の自分が嫌なら、少しずつ変えていこう。その手伝いなら、いくらでもするからさ」
慎重に言葉を選び、そして話し終える。
いつもならまず間違いなく、『だからどうした』の一言だが、そんな訳にいかないのは、いくら俺でもわかる。
なんとかかんとか苦労しながら話し終えた俺は、少し緊張しながら、阿武隈の様子をうかがう。
阿武隈は、先ほどまでとは違う種類の涙を流していた。
―執務室―
「……………………」
「……………………」
さっきから室内の空気が重い。
この空気を生み出している張本人である春雨は、千尋と阿武隈が二人っきりになった、と言ってから、何も話さなくなっていた。二人しかいない空間だと、どちらかが黙ると、すぐに空気が重くなる。千尋はいったい何をしてるんだ。
春雨は、目を閉じて全神経をその二人の会話に集中させているらしい。
「……………………ふぅ」
暫くすると、春雨は目を開けため息をついた。
「…………やっぱり、千尋さん、かっこいいなぁ……………………」
うわごとのようにそう呟いた春雨は、うっとりとした様子で虚空を見つめていた。
「……………………聞こえたのか?」
僕が春雨に声をかけても、ぼーっとした様子で反応がなかった。
どうやら、春雨の千尋に対する好感度はカンストしてるんだなー、と、数分後に春雨が正気に戻るまで考えていた。
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