風前の灯、少女達の戦い (前)
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こくりと桜は無意識に頷いた。そして桜は自覚する。自分に力を貸してくれる存在を。
小さな体の中を無作為に暴れていた力が治まっていた。それどころか知らないはずの戦い方や、宝具の使い方までもが桜の認識下に滑り込んで来たのだ。彼女の小さな体に黒い甲冑が現れる。
「イリヤスフィール、ミユ」
「は、はい!」
「……」
そしてアルトリアは、ステッキの魔術礼装を握り締める聖杯の乙女達に語り掛けた。
「戦う覚悟を持つのはいい。しかし自分達だけで戦おうとしてはいけない。ここには私がいる、アグラヴェインや魔術王、ダ・ヴィンチやアルカディアの狩人……顔は知りませんが、確かな実力のあるアサシンも。気負う事はない、出来る事を出来る範囲でしなさい。逸らずに、落ち着いて。それが最も私達の力になる」
「はい!」
イリヤと美遊の性格の違いが出る、明るさと覚悟の籠った返事だった。アルトリアはそれに微笑み、風の鞘に覆われた聖剣を顕す。
やれやれ……流石騎士王様だとダ・ヴィンチは苦笑し、ロマニも安心したように肩から力を抜いた。
そこにいる。
それだけで力になる存在こそ、騎士王のような偉大な王なのだろう。ややあって、程好い緊張感に包まれた空気の中――アルトリアは静かに警戒を促した。冴え渡る第六感が、その時が来た事を告げたのだ。
「――来る。アグラヴェイン!」
「総員戦闘配置。様子見はない、ただちに状況を決するぞ。……構え!」
アグラヴェインの号令が場を律する。
そして――
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