風前の灯、少女達の戦い (前)
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…そんなもので戦いに勝てる訳ではないのだ。
幼い決意表明、聞く価値はない。彼はどこまでも合理的で、故にこそ彼は計算のあてになる者達に言う。
「――魔神柱がこちらの想定通り、或いはそれ以上の事を可能とするなら、逆探知によるカルデアへの侵入も有り得るだろう。カルデアの座標を知られる事は我らの敗北を意味する。なんとしても阻止せねばならん。レオナルド・ダ・ヴィンチ、確実に逆探知は防げるか?」
「んー……」
ダ・ヴィンチは気遣うような目を少女達に向けるが、今はそれどころではないと諦め、後でフォローしておこうと割り切る。
「ま、防いでみせるさ。出来なくちゃ負けるんだし。問題はそれ以外の手段でなんらかの干渉を受ける事なんじゃない? カルデアで戦闘だなんて馬鹿げてる。精密機械がどれだけあると思ってるんだ」
「逆探知が行われるとしたら、それは特異点での戦いが終わって、ローマ皇帝達が退去する辺りになると思う。となると厄介だぞ。ボクらの観測がないと士郎くん達は意味消失する。仮に敵が乗り込んできたら、特異点の定礎復元が済む前にカルデアに皆を退去させないと取り返しがつかなくなる。こっちで決着をつけるとしたら、タイムリミットは10分だ」
「魔神柱がまず侵入してくるとしたら何処が考えられる?」
「管制室だよ」
ロマニの言にアグラヴェインは顔を顰めた。万能の人も同意見のようだ。
「根拠は」
「此処を通らない事には、レイシフト先から戻って来られない。逆探知するにしろ、なんらかの抜け穴があるにしろ、必ずカルデアの出入り口となる此処を通る」
「……戦闘にはどれほど耐えられる」
「此処はカルデアの心臓と言っていい。どんな些細なダメージも許容できない。だからここでの大規模な攻撃は一切許可できないよ」
アグラヴェインはますます顔を険しくする。
事象記録電脳魔・ラプラス、疑似地球環境モデル・カルデアス、近未来観測レンズ・シバ、守護英霊召喚システム・フェイト、霊子演算装置・トリスメギストス、レイシフトしたマスターたちの入った霊子筐体、そしてカルデアの炉であるプロメテウスの火がある。
まさに管制室とはカルデアの心臓にして頭脳。些細な損傷すら致命傷となりかねないのだ。
ダ・ヴィンチが言った。
「だからやるとなったら最小規模で、最短で、侵入者が現れたら一撃必殺で仕留めなきゃいけない。諸事情からロマニは攻撃に参加させられないからね、騎士王様と他のサーヴァント達で決めないと詰む」
「……分かった。そうするしかないのなら、そうするまでだ」
――決意を示しても、覚悟を持っても、大人達は自分達を蚊帳の外に置いている。
その光景に美遊達は悔しさを抱いた。だがどうにもならない。俯いて、邪魔にならないようにしているしかない
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