暁 〜小説投稿サイト〜
ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第91話:Tear
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それなのに…」

「え…?」

「胸が痛いの…まるで穴が開いたように…何かが、足りない…変だよね…怪我もないのに…どうして…」

瞳から止めどなく溢れる涙を見て、ゼロは咄嗟にアイリスの手を握った。

「何で涙が止まらないの…?」

「アイリス…」

こんな時に気の利いた言葉を言えない自分を罵りながら、ゼロは彼女の手を握った。

途中で上層部の命令でデスフラワーに向かうことになり、ゼロはゆっくりと立ち上がった。

「……出撃する」

「ゼロ…」

「また来る…今はゆっくり休め………」

それだけ言うと、ゼロは部屋を後にしようとするが、途中で立ち止まる。

「………?」

立ち止まったゼロにアイリスは不思議そうに見つめる。

「なあ、アイリス…」

「何…?」

「君のその…足りない物…俺では補えない…か?」

その言葉にアイリスは目を見開いた。

「俺にこんなことを言う資格なんてないことは分かっている。この戦いで俺は何度も君を追い詰めてしまった…だが、俺は戦いの中でしか自分を見出だせない男だから…そんな俺でも…君の心に応えられるなら…応えたい…アイリス…俺に君を守らせてくれ…」

ぎこちなくアイリスの手を包み込みながら言うと、少しだけアイリスの目に光が宿った。

そしてゼロの胸に顔を押し付けながら静かに泣いた。
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