33悪魔の所業
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界を聖杯で変えるのは邪魔しないわ。でも、沢山の人を殺すのは止めて」
クロエの願いを知っている美游は、大量殺人と大量破壊、世界の変革に恐怖し、禁忌である殺人殺戮大虐殺に協力するのを恐れた。
「大丈夫よ、そんなひどい事にはならないと思うわ」
何を持ってそう言うのか、ルビー、サファイア、美游にも分からなかったが、アンジェリカにはクロエの考えが少し分かった。
「ルビー、あたしなら登録しないでもイリヤと遺伝子まで一緒でしょ? 転身させて」
「はい、クロエさん」
先日、少女たちの願う純粋な祈り、お花畑のような願いを叶えるため、二つの聖杯と多元宇宙への道を開いて祈りと願いを送り届けたルビーとサファイア。
それでも、今度のクロエの願い、「犯罪者を全員殺して」を達成すると、数十億人の死者が出る。
冬の世界、滅亡するのが確定していた世界では、様々な略奪行為や、死の恐怖から好き放題暴れてから死ぬことにした奴らがいたので、平和なこの世界よりも、異世界ではもっと多くの死者が出る。
この世界でも、犯罪者やマフィア以外にも、銀行員、先物取引、証券マン、政治家、役人、法律関係者、弁護士、建設作業員、社会を支える支配階級やインフラを維持する人員まで始末されると社会が崩壊する。
オレンジだとかジャスミンだとか、各種革命が起こったイスラム圏のように、善良な宗教関係者では経済を支えられない。
「お願いよ、クロエ、酷い事しないで」
もしクロエの願いが通ると、聖書にある神罰の数々を超える死者、世界を洗い流した大洪水を超える、審判の日に匹敵する犠牲者が出る。
通常の死者を土葬や火葬にするインフラが全く機能しない程になり、大量の死体を海に捨てるか、山を掘り返して病死した家畜を重機で埋めるような処置が必要になる。
それでも街は死臭に満ち溢れ、路上や家庭にまで死体が溢れ、街灯や街路樹全てに絞首されたままの死体が、腐り落ちるまでぶら下がったような地獄になり、水や食料も汚染されて供給すら止まる。
スラム以下の悪臭で人間の脳内にある殺し合いのスイッチが入ってしまい、バッタがイナゴに変色して悪魔の羽を生やして飛び立つように、隣人、別の自治体、他国へ、隣国へと攻め込み人間同士が殺し合う。
蟲毒の壺の中の虫のように、最後に残った最強の悪魔だけが勝ち残るのか、その悪魔すらクロエの願いにより殺され、本当に善良な聖人だけが生き残るような世界になるのかも知れない。
「さあ、聖杯が発動するわ」
「ええ……」
美游も諦めてクロエに従った。そうすれば今後、エインズワース当主やジュリアンに攫われ、生贄にされた自分のような哀れな存在も無くなる。
アンジェリカと父のように、無謀な実験によって命を失ったり、巻き添えになって町が一つ消えるような悪夢も無くなる。
ただ、神
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