第五章
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「この通りじゃ」
「もう生きてはおられませんわね」
「うむ」
その通りという返事だった。
「この通りな」
「やはりそうですわね」
「死んでどれだけになるか」
老人はこうも言った。
「わからぬ」
「そうですの、ただ」
ズーは自ら語る老人に問うた。
「貴方は生涯独身でこの洋館は人形しかありませんが」
「わしは一代で財を為した、人形や模型の商売でな」
「そうでしたの」
「うむ、一人で優れた模型や人形を造って売ってな。わしの造ったものは全て高く売れてじゃ」
それでというのだ。
「しかも多く造れたからのう」
「財を為して」
「この洋館も建てられた、家にある人形や模型もな」
「全て貴方の造ったものでしたの」
「そうじゃ、わしはずっと甥と二人で暮らしていてな」
「甥御さんが身の回りのお世話を」
「してくれておったが」
その甥の話もだ、老人はした。
「わしの死を看取ってくれて。どうなったか」
「わかりませんの」
「この洋館は誰もいなくなり」
そしてというのだ。
「甥も近寄らなくなりな」
「そうしてですか」
「今に至る」
「ほな今のこの洋館の持ち主は」
「わからん」
「供養するにしてもどうするにしても」
ズーも述べた。
「それはまた困りましたわね」
「うむ、いい甥だったが」
「ほなその甥御さん探して」
それでとだ、ここでズーは知恵を出した。
「そのうえで」
「何とかしてくれるのか」
「はい、この洋館のことを」
「なら頼む、ここは最早アンデットモンスターの巣だ」
「このままにしては危険ですわね」
「幸いお前さん達がはじめての客でな」
「今まで入る人もありませんでしたのね」
ズーは老人に確認を取った。
「そうですのね」
「うむ、しかしな」
老人はズーに答えつつ話した。
「そうだったが興味本位で入ってだ」
「アンデットモンスターに襲われると」
「今後そうした事件が起こると困る」
こうズーに答えた。
「だからな」
「ここは、ですわね」
「何とかしてくれるか」
「わかりましたわ」
ズーは老人にはっきりとした声で答えた、そしてだった。
まずはチュットと共に屋敷を後にしてすぐにベトナムを担当する星の者として秘かに役所に連絡して屋敷を立ち入り禁止にしてだった。
老人から聞いた甥の情報を頼りに彼を探した、それは彼女の超能力の術と政府が持っている戸籍を使ってだった。
彼を探すと何とだった、既に故人であった。探すこと自体はズーの優れた超能力の術と戸籍それに政府の力を使えばすぐだった。そしてそれからのことも。
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