第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
諍い
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をしてこい」
…………え。
「この金を盗賊のアジトに行くための準備に使おうと思ってたんだが、そこまでいうなら俺は何も手出ししない」
盗賊のアジトって……、ロマリア王に頼まれたこと?!
「あとはお前らだけでやってくれ。じゃあな」
そう言い放つと、振り向きもせずあっさりと部屋を出て行ってしまった。
不安と重苦しい空気を残したまま。
「……い、いまユウリなんて言った?」
恐る恐る私は皆に確認する。ナギは何故かさっきより生き生きとした表情をしていた。
「オレたちだけで盗賊退治だとよ。かえってあいつがいなくて気が楽だぜ」
ナギはあっけらかんと言い放つ。なんでそんなポジティブなの!?
「いやいや、そういう問題じゃないよ!! 私たち、3人そろってもたいしたレベルじゃないじゃない!! そんな状況で盗賊退治なんてできっこないよ!!」
私は考えただけで血の気が引いた。いくら王様の頼みとはいえ、レベル30の勇者抜きで盗賊退治なんて無謀すぎる。
「だいじょーぶだいじょーぶ!! ミオちん、人間やるときゃやるんだよ♪」
一番説得力の無いシーラに言われ、私はさらにめまいがした。
「シーラの言うとおりだぜ。人間、弱くても3人力を合わせればできるんだ!! って、昔じーちゃんのところにあった本に書いてあったし」
…………ひょっとして、不安がってるのって私だけ?
どこまでも前向きな二人に、私は羨望と脱力を一気に味わうという、貴重な体験をした。
願わくば、ユウリが考えを変えて一緒に盗賊退治をしてくれますように…………。たぶん無理だと思うけど。
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