第五章 トリスタニアの休日
第二話 最高の調味料
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目は出来るだけ速やかに客から離れること。その際慌てず余裕を持って、出来れば優雅に客前から離れること」
「離れる? でも、そんなに直ぐに離れるとチップもらえないんじゃないの?」
そう言ってジェシカは客席にいるルイズに視線を向ける。客席ではルイズに魅了された客が増えているようだが、ルイズが客からチップを貰えたようには見えない。どういうことかと顔を向けてきたジェシカに、士郎は含んだような笑みを向けた。
「まあな。だが、これでいい。チップレースはまだ始まったばかりだ……仕込みは終わった……勝負は明日からだ」
「……シロウ……何を狙ってるの」
ゴクリと喉を震わせ、目を細めるジェシカに、人差し指を自分の口に持っていき、ウインクを一つかます。呆気にとられたように目と口をポカンと開けたジェシカに、ニヤリと笑い掛け。
「謎と秘密は人を惹きつける最高の調味料ということだ」
厨房に向かって歩き出した士郎は、背後に立ち尽くすジェシカに対し、右手を軽く振るい。
「今のうち精々チップを集めておけ。明日からルイズの快進撃が始まるからな」
一人残ったジェシカは、厨房に消えた士郎に向かって、獲物を前にした獣のような笑みを向け。スカートをマントのように翻すと、ジェシカは客席に向かって歩き出す。
「上等よ……『魅惑の妖精』亭の看板娘の力舐めないでよね」
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