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徒然草
96部分:九十六.めなもみ

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九十六.めなもみ

九十六.めなもみ
 めなもみという草があります。蝮に噛まれた人がこの草を揉んでその揉んだものを噛まれた場所にすり込めばそれでもう治るといいます。実際にそれを見てそのうえで知っておきますといざという時に役に立ちます。
 蝮に噛まれる筈がない、と思う人もいるでしょうがこれは大きな間違いです。蝮というものは本当に何処にでもいるものでありまして油断すればそれで足元にいて噛まれたりするものです。噛まれればそれでもう命の危険があります。蝮には毒があるということはもう誰もが知っていることであります。その蝮に噛まれればどういったことになってしまうのかということもこれまた誰もが知っていることでありましょう。それならばやはり注意しておくに越したことはありません。だからこそいざという時にこのめなもみという草のことを知っておいてそのうえで蝮に噛まれたその時に手当てをするのです。備えあれば憂いなしとはいいますがいざという時にそうしたことを知っていれば助かる時があるものです。ですからこのめなもみという草のことをここで書き残しておくことにしました。これで蝮に噛まれた時にも慌てたり絶望したりすることもないでしょう。困った時にそうした草が傍にあればこれ程心強いことはありません。ですからめなもみのことはよく覚えておきましょう。そうすれば命が助かるというものです。人が死ぬのは自然の流れですがそれでも無駄に死ぬというのもこれまたよくないものであります。ですから蝮に備えることも必要なのです。薬草はこの他にも多くあります。こうした草のことを一つでも多く知っていればそれだけ助かります。是非覚えておきましょう。


めなもみ   完


                 2009・8・18

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