純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 17
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脳無し共はこれだから…………っと……
「ちっ。やっぱ先に着いてんじゃねぇかよ、役立たずの耄碌ジジイめ」
乗合馬車の停車地点から、歩くこと十数分。
星空の中に立つやたらでかい建物の黒影と、その周辺に整列してる五台の馬車を見つけた。
馬は、建物の隣にある厩舎へと移した後らしい。輓具で繋がれてるなら、多少なり足音やら鼻息なんかが聴こえてくる距離なのに、ずいぶん静かだ。
「って、ちょっと待て。まさか、見張りすら置いてないのか? 嘘だろ?」
おいおい、なんの冗談だ?
いくら、人間社会から爪弾きにされてるガキ共の溜まり場だっつっても、中央教会のお偉い様が来てる時にまで、そんなガバガバな警備で良いのか。
何の為に大仰な馬車列を組んできたんだよ。
「ありえねぇ。どんだけ平和ボケしてんだ、あの次期大司教ってヤツ」
中央教会の敷地を出てすぐの所で見た、孤児院に出立する直前の馬車と、それを取り囲む能天気な人だかり。
その中心に立つ全身真っ白な人影達が何者なのかは、発情期の猿みたいにきゃーきゃー叫んでた周りの都民が勝手に教えてくれてたわけだが……
「ま、こっちとしちゃ、やりやすくてちょうどいいけどな」
見張りが居ないってことはつまり、どうぞご自由にお入りくださいませ、何をされても決して文句は言いませんって意味だろ?
喜んで入ってやろうじゃないか。
そんで、全員殺してやる。
(可哀想な孤児達。実在しない女神なんかを崇めてる、バカ丸出しの連中に拾われ洗脳され、起こりもしない奇跡に救いを求めながら、嘘吐きな屑共の目の前で、為す術もなく無惨に殺されていくんだ。そう……)
母さんと同じように。
(できれば、連中が着く前に一人だけでも押さえておきたかったんだが……仕方ない)
護衛なんて、何人付けてようが、人質を一人取っておけば無力化できる。
なんせ、相手には『世間体』があるからな。
強引にオレを捕まえようとして、人質に何かがあった場合や、手詰まりな状況を理由に人質ごとオレを斬り捨てた場合。
その事実が、国や信仰の上下内外に広まれば、長年掲げてきた慈善事業の看板がズタボロだ。
オレはそれでも一向に構わないが、連中はそうも言っていられない。
金蔓の信用度に、余計な垢は塗り付けたくないもんな?
「…………」
物音を立てないように敷地内へ忍び込み、建物周辺の気配を慎重に窺う。
建物の正面、横、裏、周囲にポツポツ植わってる木やら花やらの陰まで、念入りに観察してみたが、やはり屋外には、厩舎にさえ誰も居ない。
「……緊張感が欠けたバカばっかりだな。楽な仕事で羨ましい限りだ」
次に窺うのは、建物内部の気配。
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