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大蒜だらけ
第一章

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               大蒜だらけ
 石川晋作と志賀徹は石川の神託で今は日本の播磨の赤穂の街に来ていた、この世界でも赤穂と言えば塩だが。
 今赤穂は塩ではなく大蒜で溢れ返っていた、それでだった。
 その状況を見てだ、石川は志賀に言った。
「吸血鬼、バンパイアは」
「いや、こっちの世界のバンパイアは」
 志賀は石川にすぐに話した。
「大蒜は怖がらないし」
「種族であってね」
「モンスターじゃないから」
 だからだというのだ。
「別にね」
「バンパイアの話じゃない」
「そうだろうね」
「うん、そして」
 石川はさらに言った。
「この大蒜が」
「君の神託だね」
「そうじゃないかな」
「そうだろうね」
 実際にとだ、志賀は石川に答えた。
「これはどう見てもね」
「普通の状況じゃないからね」
「赤穂は塩なのに」
「大蒜がここまで溢れ返っているのは」
 見ればどの店でも大蒜が大量に売られている、食べものを扱っていない店でもだ。そして普通の明かや役場の前にもだ。
 大蒜が多く吊り下げられている、その状況を見て言うのだった。
「どう考えてもね」
「おかしいしね」
「これは」
 まさにと言うのだった。
「何かがある」
「というかない方がね」
「おかしいから」
「それじゃあ」
「大蒜について調べてみよう」
 二人でこう話してだ、そしてだった。
 街の中で大蒜について聞き込みをした、するとだった。
「大蒜を食べると魔物に狙われない?」
「近頃この街に出るという魔物に」
「塩は効かなくて大蒜が効く」
「だからというんだ」
「いや、大蒜に弱い魔物は」
 石川は首を傾げさせて言った、今彼は志賀と共に食堂に入っている。そこで昼飯の鯖の塩焼きの定食を食べながら話をしている。
「聞かないね」
「そうだね」
「むしろね」
「赤穂の塩の方が」
「そう、塩には魔を退ける力があるから」
 石川はこのことを話した。
「むしろね」
「塩の方がいい筈なのに」
「それで大蒜ねえ」
「何かおかしいね」
「うん、若しかして」
 石川はスコーン特有の大きな丸い目を顰めさせて言った、鯖の塩焼きはご飯によく合っていて実に美味い。野菜のおひたしも味噌汁もいい味だ。
「誰かがね」
「あえてだね」
「魔物が出るとか言って」 
 そしてというのだ。
「赤穂を塩じゃなくて」
「大蒜の街にして」
「何かするのかな」
 ここで石川は彼の職業である財政家のことから話した、
「そう、例えば」
「例えば?」
「大蒜を沢山売ってね」
「大儲けだね」
「そんなことを企んでいて」
「実際にだね」
「大蒜を売って」
 この赤穂の街でというのだ。
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