猫娘と回想、I・アイランド編
NO.102 回想《7》 メリッサの研究室にて
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
出久はメリッサの研究室へと招かれていた。
「ここは私のアカデミーの校舎で、そして私専用の研究室なの。色々散らかっているけどごめんね」
「ううん。大丈夫です」
「ありがと」
それで出久は研究室を見回しながらも感嘆の声を上げながらも、
「すごいですね……。こんな一つの研究室をもらえるだなんて、メリッサさんは本当に優秀なんですね!」
様々な道具や資料が乱雑に置かれていて、そしてなにより目についたのはいくつも置いてあるトロフィーや盾。その数はかなりのものがあり、メリッサの優秀さの証ともいえるものだ。
それでもメリッサはそれを自慢することもなく、一つの倉庫の扉を開きながらも、
「……実はね、私はそんなに成績が良い子じゃなかったの。だから他の生徒のみんなに負けないように、パパに誇れるように一生懸命勉強をしたわ。どうしてもヒーローになりたかったから」
「プロヒーローに……?」
それで出久は驚きの表情をする。最初から科学者を目指していなかったのかなと……。
メリッサはそれでどこか諦めの顔をしながらも、
「ううん、ヒーローに関してはすぐに諦めたの。だって、私無個性だし」
「ッ!?」
メリッサのなんでもないかのような告白に、しかし出久は自身の過去を照らし合わせて深くショックを感じた。
「無個性なの……?」
「うん」
メリッサも出久と同じように5歳を過ぎても個性が発現しない事を不思議に思い、医者に診断してもらったところ、発現しないタイプだと宣言されてしまったのだという。
それは当時の出久と同じ境遇だったであろう。
出久はそれはもう、オールマイトの映像を見ながらも絶望を胸に抱いたものである。
メリッサも同じ境遇の人だったことに共感を覚えてしまっていた。
「す、すいません、なんかその……」
出久の突然の謝罪の言葉にメリッサは不思議そうに首を傾げながらも、
「どうしたの?」
「いえ、周りの人たちが当然のように持っているものを持てなかったというのは、ショックだったと思いまして……」
ここで出久も一年前までは無個性だと思っていた事など語る気にはなれなかった。
結果論だが、それでも今はこうしてフォウとオールマイトのおかげで個性が発現していて将来を目指せるというのに、そんな自身の過去を語るのは、同時に無個性であるメリッサの事を下位にしてしまうかもしれないからと思ったからだ。
そんな、内心を隠しつつも自身の事を気遣ってくれる出久の言葉に、メリッサも当時の思いを思い出したのか、
「うん。正直言っちゃったらショックは大きかったの。でも、私のそばには目標の人がいたから……」
「目標……?それって……」
「パパの事」
そう言いつつ棚に飾
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ