最終話「ゴブリンが静止する日」
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の作戦が上手くいった事を悟った。
ホブゴブリンやその他上位ゴブリンはいまだに確認されているようだが、取り巻きがいないゴブリンなどただのデカイ魔物だ。小型ゴブリンの繁殖が完全に途絶えている。狙い通りだ。
ところでホブゴブリンって本来は使い魔やお手伝いさんの妖精みたいな存在の筈なんだけど。バンシーが死を呼ぶ妖精と勘違いされたりファンタジー世界って実はネーミングの誤用多いよね。というのは余談か。
アタシが神様に転生特典として頼んだもの。
それは「風来のシレン」というゲームに登場する使い捨てアイテム「巻物」を自分で製造できるというスキルである。
風来のシレンではこの使い捨てアイテムが非常に有用であったり、逆に読むことでとんでもない事態に陥ったりするするのだが、あのゲームでは識別の巻物というアイテムがないと拾ったアイテムの名前が判別できなかったりするからこそのランダム性であり、自分で一から巻物を作れるのであればなんのデメリットもない。
そしてアタシがゴブリンに投擲した巻物――「ジェノサイドの巻物」は、その巻物を投げつけた相手が『ゲームクリア、もしくはゲームオーバー、もしくは同じジェノサイドの巻物を他の敵に命中させる』の三つのどれかの条件を満たさない限り、フィールド上から永遠にジェノサイドしてしまうという強力な巻物なのだ。
一部例外はあるが、ゴブリンはその例外に当たらない。これから未来永劫、とはいかずとも最低限アタシが死ぬまではゴブリン種は増えない。アタシはクエストを受注していないので『クリア』もない。この四方世界は全て遊び場なので、イコール世界そのものがダンジョンと解釈されたのも都合がよかった。
ホブやロードが生きているのは、ジェノサイドの巻物は当てたモンスターの進化種や進化前の種に効果を及ぼさないことが関係しているのだろう。しかしシレン的にはレベルダウンでゴブリンになったらそいつはジェノサイドされないが、そもそも新しくゴブリンが生まれないのでゴブリン共は永久に繁殖で数を増やせないのである。
この世界ではゴブリンは絶えず繁殖し、子を為し次代に命を繋ぐ筈の女性を中心に襲い犯し、家畜をや農作物を食い荒らし、莫大な経済的損害を人類に与え続けている。つまりゴブリンがいなくなれば出生率は上向き、食糧供給もスムーズになり、後方がゴブリンの群れに襲われることもなくなる。イコール人類側にかなりプラスになる筈である。
アタシは自分の計画が上手くいったことに満足すると同時に、ちくりと痛む良心の理由を口にした。
「ごめん、ゴブリンスレイヤー。世界で唯一ゴブリンが全滅して途方に暮れるであろう人」
牛飼娘ちゃんと仲良くニャンニャンして余生をゆるりと送ってください。
金髪の子ヒロインになる筈だっ
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