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徒然草
36部分:三十六.久しく

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三十六.久しく

                   三十六.久しく
 長い間忘れたままでいてしまったのできっと怒っているだろうなと自分の怠惰を責めながら謝る言葉が見つからないでいました。けれどその女の人の方からお手伝いの方はおられますか、宜しければ自分にも紹介して下さいなどと言ってきてくれたとしたらその予想外の出来事に驚いてしまって耳から血が出てしまうかも知れない、こういう趣きのある心の女の人がいるとなるとこちらも心が嬉しくなってしまうとある方が言っておられました。確かにそういう女の人がいてば実にいいことであります。
 女の人で何が一番いいのかというとやはりその心です。外見がどれだけよくても肝心の心がよくなくてはそれで何もかもが台無しになってしまいます。もうそれだけでどうしようもなくなってしまいます。ですからやはり心です。心の美しくない人はそれでもう美しくなくなってしまいます。心のよい女の人はもうそれだけで全てがよくなるのです。もっともそれは決して女の人のことだけではなく男の人にも言えることであります。何事も心です、それが美しくなくては意味がないのであります。確かに顔や外見といったものも大事であります。けれど中身が伴っていなくてはどうしようもありません。また逆に顔や外見が悪くとも中身がよければそれでもう全く違ってきます。本当に心こそが最も大事であるということなのであります。


久しく   完


                   2009・5・22

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