236部分:二百三十六.丹波に出雲と
[8]前話 [2]次話
二百三十六.丹波に出雲と
二百三十六.丹波に出雲と
山城の亀岡にも出雲という場所があります。これは出雲大社の分霊を祀った立派な神社であります。志田の何とかという人の所領で秋になると出雲にお参り下さい、そばがきを御馳走しますと言って聖海上人の他大勢を連れ出してそのうえでめいめい拝みその信仰心は相当なものでありました。
神前にある魔除けの獅子と狛犬が後ろを向いてそのうえで背中合わせに立っていたので上人はこのことに非常に感動しました。何と素晴らしいお姿なのか。獅子の立ち方は尋常なものではない、これは何か深い由縁があるのでしょうと涙を流される程でありました。そうして皆さんはこの恍惚たるお姿を見てそれで何も思われないのでしょうか。それはひどいことですとまで言うので皆も不審に思いそれで本当に不思議な獅子狛犬だと言って都に帰って土産話にしようと言い出しました。上人はこの獅子と狛犬についてもっと詳しく知りたくなりました。それで年配の如何にも詳しく知っていそうな神主さんを呼んでこの神社の獅子の立ち方は私なぞには計り知れない、縁があるとお見受けしました、是非教えて下さい、と質問しました。神主さんはあの獅子狛犬は近所の子供が悪戯をしたのです、困った子供達ですといいながら元の向きに戻して立ち去りました。それで上人の涙は消え去ってしまいました。
丹波に出雲と 完
2010・1・5
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ