231部分:二百三十一.園の別当入道
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二百三十一.園の別当入道
二百三十一.園の別当入道
園の別当入道殿は二人といない料理人であります。ある人の家で見事な鯉が出て来ましたのでそれで誰もが入道殿の包丁捌きを見たいと思いましたが軽々しくお願いするのもどうかと迷っていました。入道殿は鋭い人なのでこの頃百日連続で鯉を捌いて料理の腕を磨いています、今日だけ休む訳にもいきません。是非その鯉を調理しようと言って捌いたそうであります。場の雰囲気に馴染んでその場の意を得ていたとある人が北山の太政入道殿に言いました。北山殿はそれを聞いてそんなことは嫌味にしか聞こえない、捌く人がいないなら下さい、切ります、とだけ言えばいいことである。どうして百日の鯉等と訳のわからないことを言うのだろうかと仰ったのでその人も納得したというお話に書いている自分も納得した次第であります。
わざとらしい小細工で人を喜ばせるよりも何もしない方がいいのであります。口実を作ってそれで接待するのもいいですが突然御馳走する方がずっといいのであります。贈り物も記念日等ではなくただこれをあげようと言って差し出すことこそが本物の好意なのであります。勿体ぶってそれで相手を焦らして賭け事の景品にしたりするのは真に興ざめなお話でしかありません。
園の別当入道 完
2009・12・31
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