230部分:二百三十.五条内裏
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二百三十.五条内裏
二百三十.五条内裏
五条の皇居には妖怪が巣食っていました。この妖怪について二条為世殿がお話されるには皇居にあがることを許された殿上の人達がその中の黒戸の間で碁に興じておりますと簾をあげて覗き込む者がいました。ある人が誰だと眼光鋭く振り向けばそこには狐がいまして人間の仕草を真似て立て膝の姿勢になって間の中を覗いておりました。人々がそれを見てあれは狐だと騒ぎましたので慌てて逃げ出したそうであります。
未熟な狐が化け損なったのでしょう。
皇居の中でもこうしたあやかしの類が巣食ってしまいます。神社ら仏閣にも妖怪の話があったりします。狐や狸といった生き物はそれこそ何処にでも出て来るものであります。それを見て退治するということも大事でしょうがそれ以上にそうした妖怪がいるものだということをわかることも大事であります。
妖怪は結局のところ何処にでもおります。皇居の中だからといって安心できるものではありません。やはりいるのであります。このことをよくわかったうえで妖怪に対して考えていかなければなりません。こう強く思う次第であります。わかったといってもやはり驚かされる相手ではありますが。
五条内裏 完
2009・12・30
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