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徒然草
229部分:二百二十九.よき細工は

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二百二十九.よき細工は

二百二十九.よき細工は
 名人というものは少々切れ味の悪い小刀をそのことを為す時に使うものであると言われています。あの妙観が四天王寺や観音像を勝尾寺において彫った時はその小刀は切れ味の鈍いものでありました。
 かの弘法大師もまた筆を選びませんでした。あの大師はそれこそ書においても傑出した人物でありましたが。
 本物の名人というものはその道具に頼らないものということなのでしょう。何も立派な小刀や筆を使わずとも立派なものは完成させることができるのです。そういうことなのであると思います。
 その証拠にその像や大師の書は今も残っていますが道具は残ってはいません。残っているのはその像や筆です。そこに答えがあります。
 だからこそ真の名人はその品を選びません。それも全くです。どうということはないのであります。それよりもやはりその腕なのであります。例え多少小刀や筆が悪いものであってもその腕が確かならばそれでことを果たせるものであります。それが名人の腕というものなのであります。


よき細工は   完


               2009・12・29

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