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徒然草
225部分:二百二十五.多久資

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二百二十五.多久資

                 二百二十五.多久資
 舞いで知られている多久資殿が言っていたことでありますが藤原信西殿が数ある舞いの中から好きなものを選んでそれを磯の禅師という芸姑に教えて舞わせました。その時の禅師の姿といいますと白袈裟に七首、それと黒烏帽子という井出たちでしたのでこれを男舞と呼びました。その芸姑の娘こそあの静御前であります。即ちあの静御前は母の舞を継いだのであります。これが白拍子のはじまりであります。当時は昔の神話を舞っていましたが後に源光行殿が多くの舞いの脚本を書きました。後鳥羽院がお書きになられたものもありまして院はその舞いを愛人である亀菊という芸姑に舞わせました。こんな話を聞いた次第であります。
 舞いというのは見た目にはただ美しく華やかなものでありますがそこにはこうした深い歴史があります。中々奥の深いものであります。ただ見ていて華やかで楽しいだけのものではありません。確かな美がありそして歴史があります。その深い歴史を知るとさらにいいものであります。何につけても歴史があるものであります。それを知っておくと舞いを見るのがさらに楽しいものになってきます。このことを深く感じさせてくれる話でありました。歴史は実に深いものです。


多久資   完


               2009・12・25

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