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徒然草
22部分:二十二.何事も

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二十二.何事も

二十二.何事も
 何事に関しても考えるにあたってはかつての世の中を憧れてしまう気持ちがあります。今の流行のものといえば何もかもが安っぽくそのうえ小さくなってしまっているようです。踊り細工の名人というような方が作られた品などを見ていても古風であった方が存在感があるものです。
 手紙に書かれた言葉なぞでも昔に書かれたものは例えちり紙に出すような粗末な紙にあるものでも素敵なものです。ただ何となくぱらぱらと話すような言葉でも次第に話すのもおっくうになってしまうようです。昔であれば車を出そうとか灯りを点けようとか言っていたのに最近の人はそれを短く言います。宮中の役人に立つように言うだけでもよかったのに今では立ち上がって松明で明るくするようにと細かく言うようになったり帝が徳の高いお坊さんを呼んで平和を祈り儀式を御覧になられるのをごこうのろと御呼びしていたのにいまではこうろと御呼びするようになったのは非常に遺憾で耐えられないことだと古風で頑固な御年寄りが言っておられました。
 まことに何事に関しても何か考えますと必ず昔のことを思い浮かべてしまいます。まことに昔はいいものでありました。趣というものがありました。世の人達はそれを忘れてしまったのでありましょうか。そのことを考えますとどうしても寂しいものがあります。よいものは覚えておいてそのまま保っていきたいのでありますけれど。


何事も   完


                  2009・5・7

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