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機動戦士クロスボーン・ガンダム・レイス
第一話 クロスボーンガンダム
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?」
 無重力の回転でシェイクされた脳みそ、上下左右の感覚がぶれて気持ち悪い。
「あ、ありがとう…ございます、ん。だ、大丈夫…で、すぅ」
 正直に言えば大丈夫では無い。あと少しで吐きそう…。
 だが、吐き気を無理矢理押さえ込み、助けてくれた人の顔を見る。
「うわ、酷い顔」
 その人は、女性だった。しかもとても美人!
 でも…初対面の人に対してその発言はパンチが効きすぎてませんかね?
「あ、はははははっ」
 それはそうと危ない所を助けてもらったんだ。改めてお礼を言わねば…。
 吐き気を押さえ込みながら笑顔を作る、と。
「無理に笑わなくてもいいよ」
 そう言って女性は背中を優しくさすってきた。
「え…?」
「気持ち悪いんでしょ。吐きそうなんでしょ?見れば分かる」
 よしよしっ。と今度は頭を優しく撫でてくれた。
「あ、あのぉ…」
 いきなりの展開に動揺を隠せない。
 あれ、何で今に至るんだっけ?
「少しは落ち着いた?」
「え、はい…」
「うん。さっきよりマシな顔になったね」
 いいこいいこ。
 改めて頭を優しく撫でられた。な、なんか恥ずかしいんだが…。
「吐き気はまだある?」
「…は、はい」
「だよね。
 でも、無重力空間で吐いちゃったら分かると思うけど大惨事になっちゃうから、どうしても我慢出来なくなったらこれを使って、」
 差し出されたのは黒色の袋だった。
 我慢出来なくなったらこれにぶちまけろ、という事か。
「ゴミ捨て場は艦内のそこらにあるから使ったらちゃんと捨ててね」
「分かりました…」
 突然のアクシデントに備えて今度からゴミ袋、もといゲロ袋は常備しておこう。
「取り敢えずは大丈夫そう?」
「…何とか…」
 回転途中に比べれば、だいぶマシになってきたし吐き気も引いてきた。これなら動けそうだ。
「あの…ありがとうございます」
 まずは助けて頂いたお礼を、そして何かお詫びの印を。
「いえいえ、突然の事をしたまでだよ」
「何か、お礼を…」
「いいって、別にお礼される程の事はしてないから」
「でも、」
 それでも、助けてもらったんだ。何かしら恩を返したい。
「……ちょっとつかぬ事を聞くけど、君ってもしかしてアースノイド?」
「そ、そうです」
 アースノイドとは、その名の通り地球育ちの地球人を意味する言葉。
 すると女性は「やっぱり」と言って笑顔を浮かべ。
「って事は君が新卒採用のコウタ・アマネ君ね」
 いきなり本名を言い当てた。
「???」
 何故、俺の名前を?
「そう言えば自己紹介がまだだったね。
 初めまして、私はリリア、リリア・ロンデル」
 いつの間にか差し出されていた左手。
「初めまして、天音 光汰です」
 差し出された左手を右手で取り握手する。

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