第三章
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そうして彼等は時を待った、セルジューク朝の大軍は退くだけのマンギート族を追って彼等の領内深くに入った。
この時には大軍も油断していた、サルタン自身もそれは同じで。
もう勝ったつもりになってだ、本陣で率いている将軍達に言っていた。
「あと少し進めばだ」
「はい、逃げるだけのあの者達にですね」
「降す様に告げて」
「そして降させるだけですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そうする、そしてだ」
「マンギート族は我等の下に入り」
「そしてトゥラベカ姫もですね」
「サルタンの後宮に入られる」
「そうなりますね」
「余にはまだ子がない」
サルタンにとっては頭痛の種だ、その子に国を継がせないとならないからだ。
だがそのことについてもだ、彼は言うのだった。
「しかしな」
「あの姫を後宮に入れれば」
「深く愛することが出来る」
「そしてですね」
「美しく身体も強い」
そうした女だからだというのだ、トゥラベカが。
「ならばだ」
「サルタンのお子を身籠り」
「そしてそのお子を産んでくれますね」
「元気なお子を」
「次のサルタンを」
「そうしてくれる、だから何としても手に入れるのだ」
マンギート族もトゥラベカもというのだ、こう言ってだった。
サルタンはこの日は夕刻から全軍に宴を開かせた、戦の勝利の前祝いとしてだ、そうして彼等は酒も飲んで寝たが。
その彼等の陣を夜の闇の中で見てだ、トゥラベカは強者と兵達に言った。
「見えるな」
「はい、大軍は今は眠っています」
「酔い潰れて」
「そうなっています」
「物見もいない、そして灯りもない」
そこまで油断しているのが夜目に見えていた。
「ではな」
「それではですね」
「ここはですね」
「空気も乾いていますし」
「それならば」
「攻める」
こう言ってだ、トゥラベカは剣を抜いた。そうして彼女が先頭に立ってだった。
セルジューク朝と属国達の大軍にまずは音もなく迫った、そして。
間近に至ったところで歓声を挙げ切り込んだ、そうして火矢を放ち目の前にいる敵兵達を次々と切り捨て射抜き馬で踏み潰し。
散々に攻めた、トゥラベカは自ら攻めつつ率いている者達に告げた。
「切れ!そして火矢を放ち続けよ!」
「はい!」
「わかりました!」
「目の前に出た者は全て切るか踏み潰せ!」
こうも言うのだった。
「そして私の後に続いて暴れ回れ!」
「そうさせてもらいます!」
「ここは!」
強者達も兵達も応えてだった。
彼等は大軍の中で荒れ狂った、騒ぎはすぐにサルタンの耳に入り。
彼は床から跳び上がって報を届けた者に問うた。
「敵が攻めてきたのか!?」
「はい、どうやら」
「数はどれ位だ」
「わかりません、ですが数
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