第三章
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「私は永遠にだ」
「何でしょうか」
「そなたを軽蔑し忌み嫌う」
こう告げたのだった。
「そして我が妻としたことを恥と思う」
「そう言われますか」
「知っているからな」
だからだというのだ。
「何故そなたが今私にそう言ったのか」
「それは予言で、ですか」
「予言でなくともわかることだ」
何故自分に戦に行く様に言ったかだ、そのことをというのだ。
「それ位はな」
「そう、ですか」
「もうそなたは私の妻ではない」
アムピアラオスは怒りに満ちた声を出した。
「この国を去れ、そして私もだ」
「この国にですか」
「生きて帰ることはない」
こう言ってだった、そのうえで。
アムピアラオスは他の将達と共にテーバイに出陣した、彼等は七人いたので出陣した時からテーバイの七将と呼ばれた。
戦いはアムピアラオスの予言通りアルゴスに悪い状況となった、その状況をオリンポスから見てだった。
そうしてだ、ゼウスは自らの妻であるヘラに不機嫌な顔でこう言った。
「前から思っていたが」
「はい、ポリュネイケスはですね」
「奸が多い者だ」
「そうですね」
ヘラも夫の言葉に苦い顔で応えた。
「父であるエディプスも庇いませんでしたし」
「自身の兄弟と共にな」
「そうしてです」
「この度のことでもな」
「アムピアラオスの妻に首飾りを送って彼を戦に出させるとは」
「テーバイ自身もな」
「今アルゴスは戦うべきではありませんでした」
ヘラはゼウスに落ち着いた声で語った。
「やはり」
「そうだ、今テーバイの方が有利だった」
「ですからテーバイを攻めましても」
「アルゴスは敗れ」
そしてとだ、ゼウスは言うのだった。
「多くの者が倒れてだ」
「七将もですね」
「王を除いた全ての者が倒れる」
「まさにアムピアラオスの予言通りになりますね」
「そうなることは間違いない、しかしだ」
「ポリュネイケスはテーバイが憎い余りに」
「あの様なことをしてアルゴスを戦いに向かわせてだ」
そしてと言うのだった。
「そのうえでな」
「アムピアラオスもですね」
「死なせる、もうアムピアラオスは助からない」
彼自身の予言通りにこの戦いで死んでしまうというのだ。
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