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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
流氷の微睡み2
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知っている。兄も姉もこんなことで幻滅なんてしない筈だ。だって家族なのだから。共に人生を歩み、たくさんの生きる楽しみを与えてくれた人たちが子供を心配するあまり軽く暴走してしまうことぐらい、エデンは百も承知だ。そのすべての感情をたった一言に集約して、エデンは言った。

「家族だから、分かるよ!パパとママのことぐらい!!」
「ありがとう、エデン……エイジはどう?」
「僕にはまだ、幻滅っていうのがよく分からない。でも、悲しそうにしているパパとママの顔を見ていると、心が寒くなるから嫌だ」

 余りにもエイジらしい感性。しかし、そんな言葉にも両親の頬はほころぶ。

「大人だってなんでも知っている訳じゃない。ママはいつも色んなことを選ぶけど、常に正解を選び続けることは出来ないの。たくさん間違うし、正解だったって自信をもって言える事もたくさんの選択の中のほんの一握り。人間だから、何が正しいかなんて誰にも分からない」

 正確な方角も分からず嵐の中で船を漕ぐ。
 人生はそういうものだと、いつか誰かが言っていた「正解」を思い出す。

「だからパパたち大人はその一握りの正しさを子供に託すんだ。子供がいつか大人になったとき、少しでもいい選択を出来るよう。自分に解決できなかった問題を解いて、自分より少しでも多くの正解を握れるように。エデンもいつかそうやって、正解を託す日が来るんだよ」

 それが人の営み。子が親から託される意志。
 エデンは今、両親からそのほんの一部を受け取っている。

「大人は確かに頼りにならなくて間違っているかもしれない。でもエデンはそれだけじゃないと思っているからもやもやしてるんでしょ?だったら、そのもやもやを双子ちゃんにぶつけてみなさい。分かり合ってないから噛み合わないんなら、ぶつかり合って互いを知りなさい」
「それは正解ではないかもしれない。これまでのエデンとエイジの知る彼女たちを壊してしまうかもしれない。でも二人もその子たちもまだ若いんだ。今を逃がすともう互いに話し合う機会はないかもしれない。その時になって後悔するのは辛いよ?」
「うん……よっし、決めた!!」

 このまま何も言わず、何も触れずに1年共に過ごすなど嫌だ。そんな関係は気持ち悪くて友達とは言えない。ならせめて、はっきりさせよう。
 両親との語らいでもやもやが晴れることはなかった。でもそれでいい。
 このもやもやは当事者の間だけでこそ掃えるものだ。それが分かった。
 と、殿十郎が冗談めかして言う。

「そうだ、もし勇気が足りなくなったらエイジから貰いなさい。テロリスト相手に先制攻撃するほど勇気が有り余っているようだから吸い取ってやらないと」
「え、ま、またその話……?でもエデンを守らないといけないし……」
「あはははっ!そうだね、じゃあ足
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